日本国内専用ジャンボ機誕生の秘密と歴史

パン・アメリカン航空がジャンボ機を発注したのに続いて、日本航空も発注し、1970年4月からジャンボ機を国際線に就航させました。その後、多くの乗客を運ぶ路線が多い日本の国内線にもジャンボを使いたい、という気運が日本で一気に高まり、日本航空と全日空の発注で開発されたのが「B747SR(ショートレンジ)」。

日本の国内線は飛行距離が短いため、離着陸の回数が国際線に比べるとはるかに多くなります。離着陸が多いと、機体の金属疲労が早く進み劣化も速まるため、「B747SR」は「B747ー100」にいくつかの改良が加えられました。

離陸時に主翼にかかる機体の重量を引き下げると同時に、機体構造を一部強化。着陸装置も後継機の「B747-200」と同様のものを搭載。ブレーキも改良されました。離陸時にかかる重量を引き下げたことで、燃料効率のよい飛行ができる高度に速やかに機体を持っていけるようになったのです。

これは、航空会社にとって、運航の経済性を高めると同時に、空港周辺地域への騒音を減らすことにも役立ち、一石二鳥だったと言われています。

「B747SR」は、一部が日本の国内線を引退したのち、NASAのスぺースシャトル輸送専用機や貨物専用機に改造されたりしましたが、多くは老朽化などの理由で「B747ー400D」や「B777」などに取り替えられたようです。

「B747SR」が3人乗務の「クラシック747」の短距離用モデルなら、2人乗務の「ハイテクジャンボ」の短距離用モデルは「B747ー400D」で、「747SR」と同様、日本の国内線向けにつくられ、日本航空と全日空しか使っていません。

「747-400D」は、短距離用に「747-400」の胴体と床面の構造を強化したものですが、いちばんの違いは「747ー400」の特徴である主翼端のウイングレットがないこと。短距離ではウイングレットによる燃費低減効果が小さいうえに、機体の全幅が広がったために空港の駐機場や誘導路の使用制限にひっかかるので撤去されました。

しかし、ふたつの機種の相互改造ができるため、全日空では数機の改造実績があります。ちなみに、全日空が使っている400D型機の座席数は569席で、2004年時点では、世界最高の座席数を持つ旅客機でもありました。

関連記事

ページ上部へ戻る