滑走路に降りてみてダメだった場合はやり直しがきく!?

滑走路は人工の建築物ですが、それが置かれているのは自然環境の中。滑走路の形や方角を照準に、機体を合わせることだけに集中していたのでは、スムーズな着陸にはなりません。

着陸は滑走路という物体に対して行うというより、天候や風向きなどの自然現象と折り合いをつけ、呼吸をあわせて行うもの。滑走路も、その自然の一部として認識し準備したほうが無難。

ムキになって風に逆らったり、風の影響を無視して滑走路に向かおうとしても、機体がぶれるか、角度を読みあやまってしまいます。

着陸しかけたが、滑走路の状況が思ったより悪かったり、視界不良で無理矢理過ぎたり。なにかの理由で「着陸を続行しないほうがいい」と判断したときは、「ゴーアラウンド」を行います。

いったん着陸を中止して上昇し、充分に安全な状態を確保してから着陸をやり直します。

なんともなさそうな道路を歩こうとしたら、妙に足元がすべる。人間で言うと、そういった状態が近いかもしれません。

人間だとこういう場合、いったんその道路を通るのをやめて、他の場所を通ります。飛行機の場合も「今のまま滑走路を通るとヤバそうだ」と思ったとき、似たような対応をします。

着陸のやり直しはカッコ悪いとか、着陸時間が遅れると乗客からクレームが来るからイヤとか。そういった理由で、ヤバイなと思っても強引に着陸して事故を起こすパイロットというのが、現実に、たまにいるのだそうです。

自分が乗っているジャンボ機がゴーアラウンド、着陸のやりなおしをしたら、むしろ安心ということかもしれません。

ここで強引に滑走路に進入したらまずいという状況は、視界不良だけではありません。

バイクや自転車で走っていて、至近距離を大きなトラックが通ると、トラックから来る風圧などに影響されることがあります。道路条件などによっては、小さい車でも影響されることがあります。

でも、トラックと直接ぶつかってしまったというならともかく、トラックの風圧だけでバイクが吹き飛ばされたとか、小型車が転倒したとか、そういった事故を聞いたことはありません。

これが、大型の飛行機と小型の飛行機との関係では、話が違ってきます。

ジャンボ機の後方には、後方乱気流(ウェイク・タービュランス)が発生しています。大きなトラックが近くを通ると強い風を感じるのと、同じようなことです。

トラックとバイクなら特殊なケースでない限り事故までになりませんが、後方乱気流の影響やパワーは無視できない規模のものです。

飛行機から発生している後方乱気流は、可視化して撮影できます。白い煙の中で扇風機を回せば、煙の動きで、扇風機がどれくらい空気をかきまわしているか目でみることができる。それと似たような方法です。

渦を巻く煙が画面いっぱいに描かれて、画面の隅っこに小さく飛行機が描かれている。絵で言えば、そういった感じの写真が出来上がります。それほどに後方乱気流の影響は大きく強いのです。ジャンボ機の後方乱気流のなかに小型飛行機が巻き込まれてしまうと、操縦不能になるほどの影響があります。

ですから、問題なく滑走路に下りるには、気象条件なども大切ですが、他の航空機との順番や間隔も大切なのです。

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