旅客機の中でも最も手入れに時間がかかるのはどこ?

旅客が離陸するとき、主翼には巨大な揚力が下から上に働いて、重力が上から下へと働きます。そのため、上側には縮みに強い材料を、下側には伸びに強い材料を加えたアルミ合金を使います。伸びと縮み、ふたつの力に耐えられるよう、設計されているのです。

離着陸ごとにかかる主翼の負担は、非常に大きなものですから、主翼はジャンボ機の機体のなかでも金属疲労の激しいパーツとされています。主翼の点検と整備は機体の整備のなかで、最も時間をかけて、念入りに行なわれているものです。

主翼の点検のメインは構造検査。

翼の外板の塗装の落ちや傷を見つけること、フラップやスポイラーなど補助翼の機能や傷を点検します。とくに、機体の金属疲労度をチェックする構造検査は、時間と手のかかる作業です。最新の大型の航空機には、構造に異常や傷が発生しても、定められた荷重に耐えられるよう、特別な設計がされています。これを「損傷許容設計」といいます。ちょっとでも傷を受けたら機能を失うとか、壊れてしまうはありません。

しかし、確率はきわめて少ないですが、製造ミスや整備ミスがあるかもしれないし、フライト中の知らない間に、鳥がぶつかったりしてるかもしれません。損傷許容設計を保証してるのは、検査機器も使いますが、結局は人の眼によるチェックなのです。

主翼にどういう時、どういう傷がつきやすいかをシミュレーションして、方法と間隔が決められています。でも実際には、主翼の傷はいつどうやってつくか、予測しきれないものです。運航を始めればいつでも発生する可能性があるため、フライトごとに目視検査がされます。

特殊な器材を使った検査は、目視検査で傷を見つけたとき、必要に応じて行われます。通常は「A整備」のときです。

金属疲労については、どれくらい傷んでいるか、亀裂の進行度はどうか、これからどれくらい衝撃に耐えられるかなどを調べます。いろいろな調査をして、データを総合して、これからどう検査するか、整備していくかを決めるのです。

金属疲労は一回のフライトですぐ出るというものではなく、およそ4000飛行時間ごとの「C整備」で調べることになっています。損傷許容設計をしている部位については、早期発見、早期修理が大切で、疲労が出る前に対応します。

損傷許容設計していない部位については、あらかじめ規定の使用寿命があり、部品を定期交換することで、性能を維持しています。

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