旅客機にはムダな部品はありません

航空整備士は、つねに時間との闘いです。

残念ながら「大好きな飛行機をいじれて楽しい!」をゆっくり味わっている時間はありません。特に同日の次のフライトに間に合わせなければならないTチェックや、翌朝までに終わらせなければならないAチェックは「厳密な締め切り」があるわけで、のんびりやれるものではないのです。

作業スピードが速くて正確。難しいことですが、これが優秀な航空整備士の条件なのです。

もちろん、速いだけでは当然ダメです。作業が速いようにみえて、実はあちらもこちらも不具合というのでは、旅客機が飛べなくなってしまいます。

やはり大前提は「正確さ」です。「正確にできてあたり前、速ければなお良し」。新人の航空整備士は、この「速さと正確さの板挟み」にあって、大変なストレスを負うことになります。

旅客機には、あってもなくてもいいような、ムダな部品はありません。部品の一つずつに、乗客乗員の命がかかっているといっても大げさではありません。

正確に作業しなければならないのは判っているけれど、時間が限られているというプレッシャーもあります。そのプレッシャーに気を取られて、小さな部品を手からうっかり落とし、見失ってしまったり・・・。

旅客機の部品は「なくなった」ではすまされませんが、整備場のなかは整然としているわけではなく、そこで部品を一度見失ったら、探し出すのは簡単なことではないのです。

銀行では1円計算が合わなくても、行員全員が足りない1円を捜すそうですが、それと似た話かもしれません。一緒に整備をしているチームの仲間全員が、ひと晩がかりで探しまわり、それでようやく見つかったというケースもあったそうです。

紛失したら困るのは、機体の部品だけではありません。航空整備士が使う工具も、整備が終わったとき、すべての数が揃っているか、無くなった工具はないか、必ず確認します。

工具の数が合わなかった場合、旅客機の機体の中に置き忘れた可能性があるからです。無くした工具がどうしても見つからない場合、その機体を運航させないと決まることもあります。

もし機内に工具を置き忘れていたら、その工具の種類や、置いた場所によっては、運航するのが危険な場合もあるからです。

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