滑走路が空いたら、ようやく離陸となります

滑走路が空いて、副操縦士が管制官と必要なことを連絡し終えたら、機長が「Take off」を宣言。

ここから先は、機長と副操縦士がコンビを組んでの共同作業。離陸ではオートパイロットを利用できません。機長が操縦桿を握り、副操縦士がコックピットの表示を読み取り、機長に必要な離陸決心速度などの情報をコールします。

機長はギアのブレーキはかけたまま、スラスト・レバーを前方に押しやり、手動で7割程度までエンジンの推力を上げてみて、いったん止めます。4つのエンジンすべてが正常に始動している。EGT(排気ガス温度計)などの数値も問題ない。それを確認できたら、このまま離陸を進行してOK。

ギアのブレーキを解除し、オートスロットルのスイッチを入れます。ジャンボ機の脚をその場にとどめているものがなくなり、滑走開始。このとき、左座席の機長は左手で操縦桿を持ち、機首上げの用意をします。この時、機長の右手は予期せぬ離陸中止に備えて、スラストレバー上部に手を添えています。

右座席の副操縦士は、左手で同じくスラストレバー下部を支えながら、正面のパネル、自分の正面にあるPFD(プライマリー・フライト・ディスプレイ)を確認。そこに現在の飛行機の速度が表示されています。

このころ客室の一部ではメイン・エンジンの加速音が聞こえてくるようになりますが、操縦席にはほとんど音が届きません。それでもパイロットたちは機体の加速を身をもって感じていますし、PFDの速度計の数値も見る間に上昇していきます。

速度を示す数値の上昇は、副操縦士が次々とコールしていきます。

離陸のポイントとなる滑走速度は、V1「離陸決心速度」、VR「ローテーション速度」、V2「上昇可能速度」の3種類。

離陸決心速度(V1)とは「そこを過ぎたら、なにがあっても離陸を中断してはいけない」という速度。そこで飛行機を急停止したら危険な速度になっているからです。副操縦士がV1をコールした後は、急なエンジンの故障や、他のどんなトラブルが起きても、離陸を中止せず、最後まで続行しなければなりません。トラブルに対処するのは、いったん離陸しきって空へ上がってからとなります。

V1に達してまもなくVRです。これは機首を上げてよい速度。

どちらも副操縦士が速度計を読み取ってコールし、VRのコールがされたら、機長が操縦桿を手前にゆっくりと引き、少しだけ機首を上げます。それまで地平線に向かって前を見ていた旅客機が、空を見上げる瞬間です。聞こえていた車輪の音や、伝わっていた振動が遠のき、客席にもジャンボ機が地上を離れたと判ります。

地面を離れてすぐV2、上昇可能速度に達します。ジャンボ機は空を見あげ、そこに向けて上昇していくことになります。

機長が「ギア・アップ」をコールし、それに応じて副操縦士が、ジャンボ機の脚の格納を行います。

EICASに接するように、右隣にギアレバーがあります。上中下に三段階の表示が並んでいますから、三段階の一番上、UPにレバーを上げるだけ。ジャンボ機のすべての脚が次々と格納されていきますが、コックピットで行われている操作はそれ一つ。着陸時にギアを出すときも同様です。

ギアレバー左隣のEICASに、現在の脚の状況を表示できますから、きちんと格納されたかどうか、そこで確認できます。

EICASの画面でギアが格納されたことを確認したら、ギアレバーの三段階の真ん中にOFFがありますから、その位置にしておきます。着陸時にギアを出すときは、三段階の下のDNに下ろせばギアが降ります。

ショー・アップ以来、確認とチェックと打ち合わせを重ねて、ここまでくれば空の上です。あとは、高度1万メートルを目指します。

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