航空機のエンジンの、古い形のもう一つの主流とは

航空機のエンジンの主流が、現在のタービンになる以前が「レシプロエンジン」

構造にピストンが欠かせないので、往復動機関またはピストンエンジンと呼ぶことがあります。ですから、ピストンを理解できないと、レシプロは理解できないというわけ。

片手で握りこぶしを作り、そのまま腰の横に持ってきてください。曲げた肘を軽く身体の後ろに引いた状態になるはずです。その状態で握りこぶしを作ったまま、手首を前後の向きに円運動すると、肩が上下運動をします。これを逆に考えると、肩を上下に往復させただけで、手首を回転させることが可能に。この場合、肩の往復運動をしたエネルギーで、手首が回転するエネルギーを生み出すことになります。

「往復運動を回転運動に変換する」わけで、この「こちらを往復すれば、そちらが回転する道具」がピストンです。往復運動そのものにも名前がついていて、ピストン運動と呼ばれます。ただ、ピストンの構造だけがあってもエンジンにはなりません。エンジンには「回転運動」という結果が必要なので、往復運動をスタートさせるしくみも必要になります。

レシプロエンジンの場合、ガソリンを燃やすことでピストン運動を起こします。

『燃料を燃やして、流体を加熱し膨張させ、その膨張力を往復運動に変換し、回転運動につなげる原動機』

それがレシプロエンジンの仕組みで、燃焼エネルギーが回転運動に直結しているタービンエンジンとは違う原理。

レシプロは熱機関の一種であり、ワットなど蒸気機関の歴史の延長線上にあります。SLは石炭を燃やして走る蒸気機関で、ガソリンを燃料にしたレシプロの航空機とは仕組みが全く違いますが、「蒸気機関の歴史の延長線上にある」という点では、遠い親戚みたいなものです。

現在では一般的とはいえなくなってしまったレシプロエンジンですが、これなしに現在のレベルまでの航空機の発達はありえませんでした。

航空機の性能はエンジンが決定するといっても過言ではありません。ですから、各国が全力をあげて競い合い、世界中で航空機のエンジンの性能を追求していた時代があります。その時期のエンジンは、特殊な機種を除いてレシプロエンジンです。

世界がそうなった原因は、第一次と第二次の世界大戦での需要。いろんな意味でビミョーな話ですが、航空機が飛躍的に発達したのはこの時代。航空機用エンジンの主流が、ジェットエンジンに移り変わっていったのは、戦後のこと。戦後くらいまでは、ガソリンを燃料とするレシプロエンジンは、自動車や船、他にもあらゆる乗り物の動力源として最も一般的なものでした。

そういう順序なので、航空機用エンジンは、自動車の歴史にも深く関わっています。BMWはもともと航空機用エンジンの会社で、そういった会社はこの一社だけではありません。SLと航空機に較べたら、自動車と航空機はそれよりずっと近い親戚同士です。今日の車のエンジンは、航空機エンジンの末裔とも言われる存在なのです。

レシプロエンジンの時代は、飛行機の全体量が少なかったころでした。今では信じられませんが、飛行機は「めったに見かけないもの」だったので、このエンジン特有の騒音は喜ばれたそうです。

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