濃霧が発生して視界が悪くても、滑走路に着陸できる?

飛行機の運航時、霧は視界を遮るため、厄介な存在としてパイロットから嫌われていました。ましてや濃霧となると、着陸する際に滑走路が視認できなくなるため、代替空港への着陸を余儀なくされることがあったほどです。しかし近年では濃霧の対策が進み、多少の霧なら問題視されなくなりました。

その一躍を買ったのが「ILS」と呼ばれる装置です。このILSとは「インストゥルメント・ランディング・システム」の略語で、着陸進入する航空機に対し、空港・飛行場付近の地上施設から指向性誘導電波を発射する装置になります。

指向性誘導電波とは、簡単に説明すると、進入方向と進入角度を知らせる電波のことで、コックピット内の計器等でパイロットが確認できるようになっています。その情報から安全に着陸することができ、近年においてはILSが各空港に整備され、霧が発生していても滑走路に無事着陸できるようになったのです。

因みにILSには精度の違いにより、カテゴリーⅠ~Ⅲに分けされており、カテゴリーⅢに至ってはⅢa、Ⅲb、Ⅲcと更に細かく分けられています。

主に精度の高いカテゴリーⅢのILSは霧の多い空港に設置されていることが多く、現時点でカテゴリーⅢのILSが設置されているのは成田、中部、釧路、熊本、広島、新千歳、青森の7空港になります。

成田や中部に関しては国際空港だからこそ設置されているのですが、釧路、熊本、広島、青森に関しては霧の発生率が高いという理由で設置されているわけです。逆にいえば、霧が発生しにくい地域では、そこまで精度が高い装置は必要ないといえるでしょう。

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