双発機とETOPS180ルールとの関係

現在使われている飛行機のほとんどは、双発機です。国内線でも国際線でも、ターミナルを見渡せば、並んでいる機体のほとんどが双発機という状態です。ジャンボ機(ボーイングB747)に代表される4発機が主流だった時代から、どのようにして双発機に移り変わっていったのでしょうか。それには、ETOPS180分ルールが深く関係しているのです。

以前、旅客機のエンジンに自動車と同じピストンエンジンが使われていた頃には、安全性の面から、60分以内に最寄りの空港に着陸できるルートで飛行することが、双発機のフライトの条件とされていました。そのため、目的地に向かって最短の直線ルートをとれず、目的地までの間に点在する各空港から60分以内で移動できる圏内を飛行し続け、迂回ルートで飛ぶ必要がありました。

その後、ジェットエンジンが開発されたことで、ピストンエンジンよりも信頼性も格段に向上し、60分ルールは120分ルールへ、そして180分ルールへと拡張されていきました。この、180分に拡張されたルールのことを、ETOPS180分ルールと呼んでいるのです。

時間が180分に拡張されたことで、双発機でも太平洋の横断飛行が可能となり、あっという間に主流が双発機に移り変わったのです。

さて、エンジンが故障してしまった場合、エンジンに依存している発電機や油圧ポンプ、エアコンなどの装置も作動しなくなってしまいます。

そのため、エンジン故障のみならず、電気系統や油圧系統などのリダンダンシー(冗長性)、APUの役割、パイロットの作業量なども含めて総合的に考えておく必要があるのです。

ETOPS180分ルールを適用したフライトが可能となったのは、エアラインやパイロットの体制、緊急着陸できる空港の受け入れ態勢などがすべて整ったからこそです。

※ETOPS(イートップス)とは、民間旅客機の安全性確保のためのルールの1つである。エンジンを2基しか持たない旅客機では、仮にそのうちの1基が飛行中に停止した場合でも一定時間以内に代替の空港へ緊急着陸することが可能な航空路でのみ飛行が許されるとして、国際民間航空機関 (ICAO) が取り決めたもの。【Wikipediaより抜粋】

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