東邦テナックスの「強くて柔らかい炭素繊維」は東レの牙城に迫れるか?

いわゆる「飛行機恐怖症」の人の中には、飛行機に乗らない理由として「あんな鉄の塊が飛ぶのはおかしい」ということを言う人がいますが、現在の旅客機のほとんどはアルミ合金で作られていて、そして建造素材は炭素繊維に移り変わりつつあるので「鉄の塊」という認識は当てはまりません。

炭素繊維はアルミ合金よりも軽いのに、アルミ合金よりも強度があるという夢の素材であり、ボーイング社の787シリーズには炭素繊維が多用されていることが知られています。

ボーイングに炭素繊維を提供しているのが日本の東レで、東レはアメリカに大規模な炭素繊維工場を建造してさらにこの分野でのシェアを伸ばそうとしています。

東レ一強とも言える炭素繊維業界ですが、帝人グループの東邦テナックスはこのたび「テナックスXMS32」という炭素繊維を開発しました。

木材や金属と同様、炭素繊維も強度が強くなるほど弾力性は低下します。しかし「テナックスXMS32」はその矛盾を解決し、強度も弾力性も強くした炭素繊維だと言います。

東邦テナックスは「テナックスXMS32」を航空機や自動車の素材として用いる研究開発もしており、その成果如何によっては東レの牙城を突き崩す可能性もないとは言えません。

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