消費燃料の誤差に対応する重要な残燃料のチェックとは?

◆消費燃料の誤差に対応する重要な残燃料のチェックとは?

フライトの監視の他にも重要なものに、ウェイトポイント通過時刻と残燃料のチェックがあります。

目的地の空港までに消費する燃料の量は、旅客の予約状況などから算出した飛行機の重さや目的地までの距離、飛行速度や上空の予報風、外気温度などから算出されています。

この上空の風や外気温度は、世界空域予報中枢(WAFC)と呼ばれる国際的な航空気象情報を作成する機関によるもので、とても正確なのですが、それでも消費燃料の量には誤差が生じることがあります。

それは、交通量が多く同じ機種の便が多い北米東海岸などへのルートであるNOPAC(ノパック)と呼ばれる北太平洋ルートでは、飛行高度や速度が似ているため、予定した高度でフライトできないことや飛行速度を指定されることがあり、プラン通りの高度や速度でフライトできず、消費燃料が違ってきてしまうのです。

そのため、フライトプランとともに作成したナビゲーション・ログには、ウェイトポイント間の距離や予定所要時間、残燃料などが記載されており、実際のフライトでウェイトポイントを通過した時刻や残燃料などを記入し、記載されている予定残燃料と比較する残燃料のチェックが重要となってくるのです。

例え大きく違ったとしても、補正燃料を越えなければ心配ありませんが、そこまでの誤差はほとんどないと言えるでしょう。

◆飛行機の種類による燃料供給の違いについて

飛行機の燃料タンクは、姿勢の変化でも燃料が移動して偏らないよう、左右の翼内、胴体中央などに分かれています。その翼内タンクの燃料は翼付け根に余分な力がかからないための重石としても役割もあります。

例えばクラシックジャンボ機(B747-200)の場合は、まず中央タンクからすべてのエンジンに燃料を共有し、それが空になると翼内タンクから供給していきます。ボーイングB777も同様に、中央タンクから供給しており、エンジンに燃料を送るため、タンク内の燃料ポンプを作動させています。

中央タンクのポンプは吐出力が大きいため、中央タンクから両エンジンに供給されますが、これが故障した場合のバックアップとして、他のタンク内でもポンプが作動するようになっているのです。

これに対してエアバスA330-200は、中央タンクから直接エンジンに供給するのではなく、中央タンクから左右の翼内のタンクに燃料を移動させ、翼内タンクのポンプによりエンジンに燃料を供給しています。

また、エアバス機もボーイング機も燃料供給は自動的に行われているのですが、クラシックジャンボ機では各タンク内の残燃料をチェックしながら手動で行わなくてはなりませんでした。

◆飛行機の航続距離を決めるペイロードと燃料の関係

飛行機の航続距離は、どれだけのペイロード(積載量)でどれだけの距離を移動できるのかで決まります。つまり、ペイロードを少なくして飛行機の重さを軽くすれば、航続距離を伸ばすことができるのです。

ペイロードがゼロ、つまり乗客や貨物がゼロで飛行機自身の重さ(もちろんパイロットの重さは含みます)だけで、燃料を満タンにして飛べる距離が、A380は約17,500km、B747-400は約15,300km、B777-300ERは約15,500kmとなります。

飛行機のカタログにある一般的な航続距離は、標準的なペイロードで算出しており、例えば乗客400名と貨物室に預けた荷物の重さを合計するとペイロードは39.2トンになります。

この標準的なペイロードでの航続距離は、A380約15,600km、B747-400約13,300km、B777-300ERで約14,000kmとなります。

ただし、ほとんどの飛行機は客席満席で貨物満載の状態、言い換えればペイロードを最大にした状態のため、燃料を満タンにすることはできません。最大ペイロードのまま遠くへ飛ぶために燃料を増やしていくと、最大離陸重量を超えてしまうからです。

そのため、最大離陸重量を超えないようにペイロードを犠牲にして燃料を搭載しなければなりません。満タンの状態での最大ペイロードは、A380は約33トン、B747-400は約44トン、B777-300ERは約39トンになります。

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