産学連携によるボーイングの技術開発

アメリカの航空業界では産学連携が進んでいます。

アメリカ・シカゴを拠点としているボーイング社は、大学(CMU)と提携し、航空機の整備効率と安全性を飛躍的に向上させるためのデータ分析と人工知能(AI=artificial intelligence)を応用した技術開発の研究を依頼しています。

ボーイング社は向こう3年間で750万ドルを研究費として同大学へ資金提供し、ピッツバーグに開設されるボーイング/カーネギー・メロン航空宇宙データ分析研究所(Boeing/Carnegie Mellon Aerospace Data Analytics Lab)の研究を支援することとしています。

同大学の電算科学教授であるジェイミー・カーボネル氏が、その研究を指揮することとなっています。

「航空業界が創出するデータの量はあまりにも膨大であるため、業界人が理解できる範囲をはるかに超えており、各社と担当者らは何をどうすればよいのか困っている」とカーボネル氏は指摘しています。

「言語技術と機械学習の進化によってデータ解析とその応用の可能性が現実味を帯びるようになった」ことから、航空機の製造と整備の過程で集められる膨大な量の情報と、航空機に搭載される無数の検知器や内蔵コンピュータが創出するデータを組み合わせ、それを人工知能を用いて分析することで、個別に存在するデータの分析以上の大きな成果を得られることが期待されていると、マニュファクチャリング・ビジネス・テクノロジー誌に掲載されています。

単に飛行履歴や同じような機体・機齢などのデータをもとにして整備予定を決めるのではなく、個々の航空機の状態を複合的に把握することで、整備予定を最適化することを目指しているとのこと。

これによって整備の実効と効率、そして何よりも安全性の更なる向上を目的としています。

カーネギー・メロン大学では、この研究に最低20人の研究者や専門家、大学院生を従事させる予定としています。

初期の研究では、具体的な内容は明らかにされていませんが、ボーイングが指定した10件ほどの研究内容に特化するとのことです。

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