日本の空港の発着料は世界一高い?

航空各社は、空港の施設を利用するために、様々な使用料を支払っています。旅客機が着陸するために必要な「発着料」もその1つ。日本の空港の発着料は、世界でも、もっとも高いといわれています。

そもそも、発着料はなぜ必要で、1回当たりどれくらい必要なのでしょうか?「なぜ」に対する答えは、空港の建設費用と、維持管理に必要な費用を回収するためです。

例えば、2005年にオープンした中部国際空港の総事業費は、約6,400億円です。この空港の開港費用の捻出と、オープン後の維持に必要なお金の一部を、航空機の発着料が担っているのです。日本の空港に関わる国の予算の執行は、「空港整備特別会計」(略して空港特会)という枠組みの中で行われています。新空港の開港や維持管理のほか、環境対策事業など航空全般に関わる会計。

航空会社が旅客機1回の着陸ごとに支払う飛行機の発着料は、この空港特会の歳入(収入)の一部となっているのです。では、その発着料はどのように決まるのでしょうか?

旅客機は、機種ごとに大きさが違います。大きさが異なれば重さも異なってきますが、発着料は、この重さ、つまり重量を基準に決められているのです。したがって、簡単に言うと、重量の重い航空機ほど、高額の発着料が必要になります。さらに、成田・羽田・関西・中部の4空港は、空港で独自に発着料を決められる仕組みになっています。

この4空港に着陸するのは国際線が多く、また、そのほとんどが大型機です。国際空港は経費も多額になりますし、日本は国土が狭いため土地代が高くなります。そのため、発着料は高額の設定になるのです。

では、他の国はどのくらいの水準なのでしょうか。比較してみましょう。ボーイング777-200、(重量276トン)の場合、成田が約45万円なのに対し、韓国の仁川空港、中国の浦東空港は約18万円です。確かに、3倍弱の価格差があっては、航空会社にとっては痛手です。実際、成田よりも着陸料の高かった関西国際空港では、路線の撤退が相次ぎ、一時はピーク時の4分の3まで、旅客人数が落ち込みました。

そこで打ち出されたのが、「発着料の割引や免除」のシステムです。とくに危機感の強かった関西国際空港では、新規就航の場合、発着料が実質無料になる施策を実施しました。成田空港でも、期間限定ながら発着料の割引制度を導入しました。LCCが台頭する現在、発着料の引き下げがどのように進むのか、今後も注目されます。

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