10年先の需要を見極めた機体開発のリスク

ジャンボ機にかぎらず、新しいタイプの旅客機が私たちの目にふれるまでには、約10年の歳月がかかっている、といわれています。航空機メーカーは、現在ではなく未来の、少なくとも10年以上先の旅客機に対するニーズをしっかり把握して、旅客機の開発を進めています。

まず、どんな仕様の航空機が売れるのか、市場調査を綿密に行なうことからはじまり、売れる航空機は、乗客が何人くらい乗れて、どのくらい遠くまで飛べるのか、最高速度はどれくらいで、運航にかかるコストはどれくらいかなど、たくさんの項目をチェックします。

最終的には市場調査に基づいて開発計画が立てられ、開発決定の判断がなされるため、調査の重要性は推して知るべしというところ。

1965年にはじまったジャンボ機の開発は、当時のボーイング社の調査ではいい結果が得られず、なかなかゴーサインが出なかった、といわれています。1970年代になれば大型機の時代になるはず、といぅ点では一致していたのですが、すでに開発が進んでいたSSTが70年代後半には旅客輸送の主役になる、という予測が支配的だったためとも言われています。

当時、航空会社のなかで最大手だったパン・アメリカン航空から大量のオーダーがあって、やっとボーイング社は開発を決めた経緯があります。

開発が決定すると、各航空会社に向けて新型機の全貌が公表され、同時に航空会社からの注文の受け付けがスタートします。注文数が「つくって採算がとれる機数」になれば製造にゴーサインが出されるのですが、達しなければ製造を断念することもあります。

たとえば、ジャンボ機の場合、当初の開発費と製作費をカバーするには50機を売らなければなりませんでしたが、同社の純資産に相当する額をジャンボに投資していたボーイング社は、半数をパン・アメリカン航空1社が引き受けてくれることを望みました。そしてその「ギャンブル」を、パン・アメリカン航空は受け入れたのです。

製造にゴーサインが出ると、アメリカ国内にとどまらず日本をはじめ、イギリス、オーストラリア、イタリア、シンガポール、韓国など、ボーイング社と提携しているサプライヤー(部品や素材メーカー)の工場で各パーツの生産がスタートしました。

できあがったパーツはアメリカのボーイング社の工場に集められ、機体が組み立てられます。組み立てられた機体は約1年かけて飛行試験だけでなく、安全性を確認するためのさまざまな試験が行なわれ、その試験をクリアしたものだけが航空会社に納入される仕組み。

ジャンボ機のょうな大型機はふつう、各パーツの生産開始から航空会社に納入されるまでに約1年かかります。自動車のょうには量産できませんが、安定したオーダーがあればコンスタントに製造されることになります。

たとえば、ボーイング社のB777型機は、月産4機のぺースで製造できると言われています。

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