もし、旅客機がちょっとだけ傾いたら・・・

飛行のために航空機に搭載された電子機器を総称して「アビオニクス」と呼びます。

客室の座席に設置されている娯楽用の機材などは、飛行に直接関係しないので、アビオニクスに含めるかどうか、微妙なところです。

それより悩ましいのは、専門用語ができるほど電子機器が大量に搭載された旅客機内に「さらに追加して電子機器を持ち込んでいいのか、どうか」です。

2014年9月から、旅客機内における電子機器の使用について「電波を発しない電子機器に限って」機内で使ってよいことになりました。

「おそらく問題ないと思われる電子機器」は、いつでも機内で使用してよいことになったのです。

「パソコン・スマホ・タブレットは、いつでも使用OK」となりましたが、旅客機内で使用するには、大切な条件があります。

「機器から電波を発しない状態になっていること」です。

電波を発信しない設定にしておけばいいだけの話ですが、こういった多機能の機器は、ゲームからビジネスまであらゆることができますから、使用目的や使い方が、人によって全く違います。

日ごろパソコンの無線機能を使わない人は、自分のパソコンの設定が現在どうなっているか、わかっていないことがあります。これと逆に、常に無線機能を使っている人は、たまに無線機能をストップしようと思っても、設定方法がすぐには思い出せない、ということがあるのです。

それに、手荷物として機内に持ち込む電子機器を、すべて機内で使用するとは限りません。バッグなどに入れっぱなしで忘れたまま、電源を切ったり、電波の設定を変更するのを忘れているケースがあります。

電子機器を手荷物として持ち込まず、空港で預けるスーツケースなどに入れる場合でも、同様の注意が必要です。

預ける荷物の中に電子機器を入れるときは、電源を切ったことを確認して梱包、バッテリー等が外せるときは外して別梱包した方が良いでしょう。輸送中の振動で他の品物とぶつかり合っても、電源が入ってしまわないようにパッキングすることが必要となります。

航空機内に持ち込む電子機器が重視されるのは、複数の電子機器を互いに接近させると、それぞれが発信する電波が干渉しあい、思わぬトラブルを生じることがあるからです。

無線機能を切ったパソコンを起動し、その近くにラジオを持ってくると、ラジオの音が聞こえなくなることがあります。

ラジオで使う周波数を変更するか、パソコンの電源を切ると、ラジオは聞こえるようになります。違うラジオだと、ラジオには影響がなく、パソコンが影響されることがあります。

電子機器同士、どれとどれを接近したら問題を起こすのか、起こさないのか。世の中のすべての電子機器どうしを組み合わせて実験することはできないので、わかっていない部分が多いのです。

それに、電波同士の相性の問題ですから「小さな家電の電波」イコール「小さな影響」とは限りません。

旅客機内で使用してよいとされた電子機器は「おそらく問題ないと思われるもの」であって、物事なんでも100パーセントはありません。

客席で自分のパソコンをつけたら、飛行機が少し傾いた。あれっと思ってパソコンを消したら、飛行機が立ち直った。

ありえない事と思うかもしれませんが、もしいうことがあったら、ちょっとだけ・・・用心してみてください。

関連記事

ページ上部へ戻る