空港にも「門限」があるって、ホント?

成田空港には離発着時間の制限があり、深夜23時から翌朝6時までは、緊急の場合を除き航空機の出発・到着は許可されていません。予定より朝早く到着しそうな便は、上空で時間調整をしています。

同様に出発便にも、23時までの離陸が義務付けられています。成田でのヨーロッパ行き最終便は、パリ行きのエールフランス航空。22時頃に出発する、成田発で唯一の欧州方面の夜行便です。

パリ到着は現地時間の朝4時過ぎ。「一日を有効に使いたい」という旅行客には人気ですが「早すぎる」という声もあります。飛行時間をもっと短くすることも可能ですが、パリ上空でも時間調整をするそうです。

それでもトラブルなどで出発に遅れが出ることを考えると、成田を離陸する定刻は22時頃でもギリギリなのです。23時を過ぎると見込まれた場合は、出発遅延どころか、欠航せざるをえなくなるからです。

このような成田空港の「門限」の不便さを考えると、滑走路が24時間運用できる空港のほうが圧倒的に使いやすいといえます。中部国際空港(セントレア)や関西国際空港はそのような時間的制約がありません。中部国際空港は2005年の開業当時から、関西国際空港は2007年の第2滑走路の供用開始から、それぞれ24時間フルオープンの空港となり、夜間も航空機の離発着が可能です。

これらの空港で24時間の運用ができる大きな要因は、「海上空港」であることです。海上であれば、離発着時の住宅街への騒音の影響も少なくすることが可能になります。

また、夜間の離発着が可能であれば、発着時間の少ない時間を利用した貨物便や、時差の影響が少なくなる外国からの乗り入れ便が増えますので、経済効果も期待できます。

さらに、海上では高層ビルなどがなく見通しが良いため、パイロットにも「離発着しやすい」と好評だそうです。近年日本でオープンしている空港には、神戸空港や新北九州空港など海上空港も多くあります。

日本に海上空港が多いのは、日本が島国であるということが大きく関係しています。都市周辺に新空港を作ろうにも、国土の狭い日本では、用地の確保が難しいという事情がありました。

しかし、国際交流が活発になるにつれ、24時間運用のできる海上空港の建設は時代の要求になっていきます。そこで、鉄鋼メーカーを中心に、人工島上に空港を作る技術の開発が世界に先駆けて進められました。

その結果、日本はメガフロート(超大型浮体式構造物)などの海洋開発技術で世界でもトップクラスの水準を誇るようになりました。1975年に長崎県の大村湾上に作られた長崎空港は、世界初の海上空港です。

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