飛行機の部品をつなげるために使われていたのはなんと!?

飛行機というのは旅客機にしろ戦闘機にしろ、一体成型で金属板からぽんとできるものではありません。当然たくさんの部品をつなぎあわせて組み立てられています。

では、外装に使うその部品がどうやってつなぎ合わせられているのかをご存知でしょうか?溶接?ボルト?何だと思いますか?

実は機体をつなぎ合わせているのは『接着剤』

「プラモデルかっ!」と思われたかもしれません。でも嘘ではありません。もちろん、プラモを作るようなそのへんで売っている接着剤ではない、飛行機専用の接着剤を使うのですが・・・。

さて、ではその接着剤のことを説明する前に、なんで接着剤じゃないといけないのかを説明します。金属部品をつなぎ合わせるには、ボルト・リベット・溶接などの方法があり、実際飛行機専用の接着剤が開発されるまではそうした方法により飛行機は組み立てられていました。しかし、それらの方法はそれぞれに問題があります。

まずボルトは取り外し可能という利便性はあるものの、重いという欠点があります。

リベットはボルトより軽く、安上がりでもあるものの衝撃に弱く、強度を上げようとすると大量に使う必要があって結局重くなります。

溶接はしっかりつなぎ合わせられて強度は上がるけれど、溶ける温度が違う鉄とアルミのような、別々の素材をつなぎ合わせることが難しい。

等など、帯に短し襷に長しと言ったようなところがありました。それまでの飛行機はそうした問題にいろいろ折り合いをつけながら作られていたのです。

そこで開発されたのが飛行機用の接着剤です。これは「構造用接着剤」というもので、JISでは「長時間大きな荷重がかかっても接着特性の低下が少なく、信頼性の高い接着剤である」と定められています。

アメリカ連邦規格のMMM-A-132A(航空機構造用接着剤試験規格)ではさらに具体的で厳しい基準が決められています。その基準の一例を以下に示します。

単位に使われているkgf/平方cmは「重量キログラム毎平方センチメートル」のことで、1平方cmあたりにかかる重さの単位です。

タイプ1

・クラス1 -55度で387kgf/平方cmに10分間耐えられる、82度で193kgf/平方cmに10分間耐えられる
・クラス2 -55度で246kgf/平方cmに10分間耐えられる、82度で141kgf/平方cmに10分間耐えられる
・クラス3 -55度で211kgf/平方cmに10分間耐えられる、82度で141kgf/平方cmに10分間耐えられる

タイプ2

・-55度で193kgf/平方cmに10分間耐えられる、149度で158kgf/平方cmに192時間耐えられる

タイプ3

・-55度で193kgf/平方cmに10分間耐えられる、149度で141kgf/平方cmに192時間耐えられる

タイプ4

・-55度で193kgf/平方cmに10分間耐えられる、149度で141kgf/平方cmに192時間耐えられる、260度で70kgf/平方cmに192時間耐えられる

数字だけ見ても分かりにくいと思いますが、例えばタイプ1のクラス1の基準を満たす接着剤であれば、貼り付けた1cm四方の金属板に387kgの重りを10分間吊るせるというと多少イメージが湧きやすいでしょうか?

ちなみに横綱・白鵬関は158kgとのことなのでタイプ2の基準を満たす接着剤だと1cm四方の金属板に白鵬関を192時間吊るせるということになります。

-55度というのは旅客機が飛ぶ高度1万メートルの外気温を想定しています。そのような環境の中でもものすごい負荷に耐えられる能力を持った接着剤を使っているのだということはお分かりいただけたと思います。

このような接着剤ができたおかげで例えばボーイング787などは炭素繊維強化プラスチックを多用し、強度を保ちつつ軽量化することができるようになりました。

構造用接着剤は今では飛行機だけではなく、自動車の組み立てなどにも転用されています。

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