旅客機の窓はなぜあんなに小さいの?

卵の殻の姿を思い出してください。つなぎ目がまったくありません。

自動車の車体も同じです。全体を融接することで、1つの卵の殼のようにつくられているために、こちらもつなぎ目がありません。このような構造を「モノコック構造」といいます。「モノ」は1つ、「コック」は卵などの殻のことをいい、乗り物の胴体にかかる圧力に耐えるための、最も基本的な構造です。

ですが、全長70mを超える巨大なジャンボ機の胴体の場合、つなぎ目なしに「1枚の殻(外板)」で仕立てるのは不可能です。飛行中の機体の内面には、1平方mあたり6tもの圧力が、内から外へとかかっています。モノコック構造だけで、これだけの荷重に耐えることは困難なのです。

これは、ジャンボ機が飛ぶ1万mの上空では、機外と機内に0.5から0.6程度の気圧差が生じるためです。もし、その気圧差に耐えきれず、機体のどこかに1ヵ所でもへこみなどができてしまったら、大変なことになります。

ジャンボ機体の胴体は、内側からかかる圧力をできるだけ全体に均等に分散し、1力所に大きな荷重がかからないよう、切り口が丸くつくられています。それなのに、ここにへこみや傷ができると、荷重の分散がかたよったり、1ヵ所に集中して、機体の破損につながりかねません。

このため、大型旅客機の機体には、モノコックよりもさらに頑丈な構造である「セミモノコック構造」が用いられています。セミモノコック構造は、フレーム(丸い胴体断面の形を保持する骨)と、そのフレームと垂直に交わるようにストリンガー(縦適材)を通して、胴体の骨組みをつくり、そこに外板を張りつけたものです。

荷重を骨と板とで分担できるしくみになっていて、モノコックだけでは耐えきれない力にも対応できる構造になっています。ジャンボ機の客室の窓は、狭く小さく、見晴らしがよくありませんが、フレームとフレームのあいだに窓がとりつけられているためです。

大型機の場合で、フレームの間隔は約50cm。

乗客の私たちからすれば「せっかくの上空だし、新幹線みたいな大きな窓だったら、爽快でスリリングな眺めを楽しめるのに!」と思いますが、大きな窓をつくるために、飛行機の構造を支えているフレームの長さを途中で切ったり、フレームの数を減らすわけにもいきません。それで窓のほうを小さくしているのです。

また、これとあわせストリンガーを15~25cmの間隔で設けることで、外板を補強しています。

実は、大型旅客機の外板の金属板は、厚さが1・3mmしかありません。外板に十分な強度をもたせるためには、もっと分厚くできるといいのですが、それでは機体が重くなってしまいます。燃費が多くかかることになったり、いろいろな問題が起きてしまいます。

セミモノコック構造は、機体の重量を軽く抑えたり、薄い外板に充分な強度を保たせたり、多くの効果をもった構造なのです。

ジャンボ機の機体を組み立てるには、外板や補強材、フレームなど、数多くの部品を接合しなければなりませんが、その接合には「リベット」と呼ばれる「鋲」を使います。

リベットは直径6mmのアルミニウム製です。接合する両方の部材に、100万分の1以下の誤差になるように、穴を開けてから差しこみ、固定します。

もし、開けた穴が大きすぎて、打ちこんだリベットと部材とのあいだに隙間ができると、燃料が漏れたり、雨水が侵入したりで、そこから腐食してしまいます。逆に穴が小さすぎて、リベットを無理やり押しこむ形になると、部材に負担がかかり、金属疲労の原因となります。

そのため「リベット打ち」の前には、必ず「試し打ち」が行なわれます。

試し打ちをした部材は、接合部を切断し、その断面を見て確認します。接合されたリベット部分に隙間がないか、穴の周囲に亀裂が入っていないかなど、他にもいろいろなチェックをするのです。

その上で、どれくらいの強さ・速さでリベットを打ちこめばよいのかを決める(調節する)ことになります。

大型旅客機に使われるリベットの数は、なんと100万本以上。最近は「オートマチック・リベッター」という機械があり、リベットを自動的に打ちこむようになりました。

しかし、胴体などは曲面なので、機械任せにできないことがあります。平面に打ち込むより精密さが要求されるため、人間の手でないとうまく打ち込めないことがあるのです。

昔の飛行機は木製だったり、手作りだったりしますが、現代の金属製の飛行機作りにも、熟練工の手作業は欠かせないのです。

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