旅客機主翼の重要な部品、フラップとスポイラーとは
旅客機の窓側のシートは、前方か後方、窓の視界を主翼がふさがない、外の景色がよく見える席が人気のようですが、ときには主翼付近にしか空席がないことも。
そういう時は、せっかくのチャンスですから、主翼の動きをじっくりと間近で観察するというのはどうでしょう。
旅客機の主翼には、必要に応じ翼の面積を広げるため「高揚力装置」というパーツがついています。それらがどのような時どのように動くのか、座席の窓から見ていると、よく判るのです。
中でもフラップは、高揚力装置のもっとも代表的なパーツ。
離陸や着陸の時、主翼後方に重なって収納されていた横長の3枚の板がスライドしながら出てくる様子をご覧になったことがあるでしょう。
あれがフラップです。
鳥が空から地上に舞い降りてくる姿を思い起こしてみてください。地面に近づくと、鳥は翼を左右いっぱいに広げ、ふわりと着地します。
それと同様に、旅客機もフラップを稼働させて翼の面積を広げ、優雅にふわりと地上に舞い降りることができるのです。
出発準備が整い、旅客機がスポット(駐機場)から滑走路へ移動を始めると、まもなく主翼後方のフラップが音を立てながら稼働を開始。
ここでよく見ていると、フラップとフラップとの間に、すき間ができているのを観察できるはずです。このすき間はスロットと呼ばれ、実はこれも重要なパーツなのです。
もしこのすき間がなかったら、主翼の上方に空気の渦が発生し、気流が乱れて揚力を低減させてしまいます。そこで意図的にすき間をつくって、ここに下面から高速の空気を流し、翼上面の気流を整える仕組みになっているのです。
離陸後フラップはもとの場所に収められますが、目的地の空港が近づき着陸態勢に入る時、再び稼働します。
フラップとは別に、主翼の上面で板を立てたようなパーツがあります。主翼のもう一つの重要なパーツである「スポイラー」。
フラップとは逆に揚力を打ち消す働きがあり、緊急時などにスピードを維持しながら、だが出来る限り早く降下したいというときに作動させるものです。
フラップとスポイラーは、総称して「補助翼」とも呼ばれています。