東南アジアの空港の「おもてなし」精神は日本を凌駕する

空港というと以前は退屈な場所でした。早めに到着しても、搭乗時間までにできることといったら食事をするかお茶を飲むか土産屋を物色するか、ベンチで仮眠を取るかという程度。しかし、それも昔の話で、最近の空港のコンセプトは飛行機の利用者以外の客を呼べるような「ショッピングモール化」もしくは「テーマパーク化」です。

あの世界一の空港では

「テーマパーク化」された空港として第一に挙げられるのは、はやり様々な面で世界一との評価が高いシンガポールの玄関口、シンガポール・チャンギ国際空港でしょう。

シンガポール・チャンギ国際空港というと、多くの植物を配した空港とは思えない緑豊かなターミナルビルが有名。テレビなどで空港付属の「バタフライガーデン」を目にした人も少なくないのではないでしょうか?

しかし、実はバタフライガーデンの他にも、ひまわりが咲き誇る「サンフラワーガーデン」、リリーパッド=スイレンの形のオブジェが遮光シェルターになり、風通しもよいという「リリーパッドガーデン」などいくつかの庭園があります。ちなみにリリーパッドガーデンの遮光シェルターは、雨水を集めて再利用するというエコな設備でもあります。

チャンギ空港にはなんと屋上プールもあって、プールサイドにはバーカウンターなども設えてあり、まるでリゾートホテルのよう。足を入れると魚が角質を食べてくれる「フィッシュスパ」施設もあります。

それに加え、時間に余裕があるなら所要時間2時間ほどの無料市内ツアーも利用できます。空港を起点とした観光ツアーというのはありそうでないサービス。しかもしれが無料というのがすばらしいです。

空港だけでも満足できてしまうほどの充実ぶりはさすがと言う他ありません。

我が国の空港というと

さて、圧倒的なシンガポール・チャンギ国際空港と比べ、我が日本の空港はどうでしょうか?

まず羽田空港の国内線ターミナルは「ショッピングモール化」としてはわりと充実していると思われます。ショッピングエリアは空港というよりはデパートに入ったような印象です。ただ、あまり楽しめるような設備ではありません。まあ、基本的に国内線はそれほど長く待つ必要はないのでそれでもいいのかもしれません。

一方、国際線ターミナルのほうは、4階の「江戸小路」5階の「TOKYO POP TOWN」という対象的な二つの設備があります。ただ、やはりどちらもショップが主で、ガワだけ作って内容は薄くなりがちな日本ならではという感じです。

成田空港は羽田よりもさらに落ちる印象があります。お店やレストランが並んでいるだけでそれほど楽しめる設備はありません。ただ、成田空港の第1第2ターミナルは建設された時期が古く、第3ターミナルはできたてだけれどもコストを極力カットした設計なのでその点は差し引いて考えるべきでしょう。

現在事実上日本のメイン空港となっている羽田空港ターミナルビルのつまらなさのほうが深刻な気がします。

狭くても楽しめる台湾の空港

その点では台湾の空港のほうがまだまし。桃園国際空港には「台湾国民美食バー」を始めとして、台湾の食文化を重視したフードコートがあるので、旅立つギリギリまで台湾ならではの屋台メニューなどを楽しむことができます。

また、リニューアル後にはタブレットで電子書籍を閲覧できる「電子図書室」が何箇所か設置されました。「運動公園」には各種フィットネスマシンが置いてあり、シャワールームもあります。しかもこれらはなんと全て無料。マッサージチェアの使用も無料。それに対して成田や羽田にあるマッサージチェアは有料でボッタクリ価格。ターミナルの各所にはリクライニングチェアが置いてあって仮眠もとれます。

松山空港は空港ロビーはいくつかのレストランやショップがあるだけの簡素さであまりおもしろくはありませんが、搭乗ロビーのレストランは空港ならではのボッタクリ価格ではなく夜市とほぼ変わらない値段でしかも味もおいしい。ロビーの中央には「カンフーマッサージ」なるマッサージ室があって、羽田では料金を取られるネットを使えるPCも無料。自分のPCがあれば、コンセントとLANコネクタがついたカウンターも利用できます。

本気で利用者を楽しませようというチャンギ空港。お金を使わなくても休んだり楽しんだりできる台湾の桃園空港や松山空港。それに対して「OMOTENASHI」というスローガンだけは立派だけれど、内実が伴わない日本の空港の差は大きいと言わざるを得ません。

オリンピック招致プレゼンテーションでの「O・MO・TE・NA・SHI」パフォーマンス以来、「おもてなし」が日本ならではのものだという盛大な勘違いをしている人も多いですが、私から見ると日本のおもてなしはマニュアルをこなしているのに過ぎません。だからマニュアルから外れたイレギュラーには極度に融通がききません。それに加えて対価を要求します。

それに対して東南アジアの南国的おもてなしはマニュアルを超えた気遣いを感じます。おもてなしという精神文化はシンガポールや台湾のほうがはるかに上だと言えるでしょう。

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