鉄道と空港のコラボが進んでいる欧州の空港

旅には色々なスタイルがあります。例えばヨーロッパでは主要都市を結ぶ鉄道網が充実しており、鉄道を利用した自由な旅行が人気です。中でもスイスの主要な空港は、移動の面でも荷物の面でもユニークで便利なサービスを提供しています。

スイスの玄関口は、ヨーロッパ5大空港のひとつに数えられるクローテン空港で、スイス最大の都市チューリッヒの中心から約12km北のところに位置しています。日本からは、スイスインターナショナルエアラインズが毎日運行しています。所要時間は12時間で、成田を午前中に出発し、チューリッヒへは現地時間の同日午後に到着します。

このチューリッヒ国際空港は2000年に拡張工事が行われ、リノベートされた新ターミナルは、ガラスをふんだんに使用した、透明感溢れる斬新なデザインで、光を取り込む吹き抜けと白を基調とした明るいフロアからなる空間は美術館のようで、2004年に、WORLD TRAVEL AWARDSを受賞しています。

ショッピングモールも充実しており、お土産物や食品、レストランの他にも、郵便局や電話電子通信機器のお店、CDショップ、衣類、本屋さん、ドラッグストアーなど、買い物はここへくれば十分なほど充実したお店がラインアップされています。

そのため、日曜日のチューリッヒ国際空港は、旅行客以外に、いつもとても混み合っているそうです。というのも、スイスでは、日祝祭日はデパートやスーパーを含めお店が開いていないため、地元の人々や近所の人たちも、年中お店が開いているこの空港へ、普段のお買い物をしにやって来るそうです。

そんなに気軽に空港へ来れるのも、確かに空港の施設そのものが評価されているためだといえるでしょうが、それだけではないようです。

チューリッヒ空港にあるチューリッヒ空港駅は、空港のメイン乗客ターミナルの真下にあります。もともと駅は、都市間急行のみが乗り入れる予定でしたが、現在は、長距離列車、スイス国内の各都市へ行く列車、さらにチューリッヒSバーンのS2とS16が乗り入れています。

特に約10〜15分かかるチューリッヒ中央駅へは、昼間は1時間あたり約10本と、頻繁に運行しています。駅は、オエリコンとバッサースドルフの間の空港線に位置しており、1980年に開業しました。この路線は、チューリッヒ中央駅とウィンタートゥールを結ぶスイス国鉄の路線の主要な一区間で、完全に地下にある駅には、1日約300本の列車が通っています。

さらにエアポート・ターミナル・コンプレックスには、チューリッヒ市内の主要ホテルに行くエアポート・シティバス、シュタットバーン・グラッタル、チューリッヒ・トラムなどの路面電車も乗り入れています。

他にも、スイスのタクシーは安全・快適で、所要時間は約20分、空港周辺のホテルへはホテルバスがあり、運行頻度はホテルによって異なりますが、料金は無料です。

便利なのは空港や移動機関だけではありません。スイスには快適な鉄道の旅をサポートするユニークな荷物運送システムがあります。

代表的なサービスとして、「フライレールバゲージ」というものがあります。これは、日本の空港からスイス各地にある約50駅まで直接荷物を送ることができるサービスで、スイス到着の空港では荷物をピックアップする必要がなく、身軽に次の目的地まで行ける便利なシステムです。ガイドブック等でも紹介されているので、利用したことがある人もいるかもしれません。

「フライレールバゲージ」は原則としてどの航空会社でも利用可能ですが、実際にこのシステムを知っている航空会社のスタッフはスイス・インターナショナルエアラインを除き、あまりないようです。

このサービスはスイス・インターナショナルエアラインのフライトを利用する場合に限り、成田空港の同社カウンターで手続することができます。重量はクラスにもよりますが、エコノミーは最大32kgまでで、超過分は追加料金をとられます。また、料金は荷物1個につき2500円、ビジネスクラスおよび一定の会員は荷物1個につき1500円、ファーストクラスやセネター会員などは無料で利用することができます。

しかし、荷物の中には税関申告が必要なものを入れることはできず、また、自転車やサーフボードなどの大きな荷物はサービス対象外となるなど、注意が必要です。

他にも、スイス出国時に約50駅で荷物と搭乗券のチェックインができる「チェックインサービス」があります。

フライレイルバゲージとチェックインサービスは似たようなサービスですが、当日空港のスイス航空のカウンターで搭乗券を受け取る必要があるかどうかの違いがあります。どちらも事前に座席指定が出来るメリットと、荷物を日本までお任せして、出発日に身軽に移動できます。

他にも、スイスから隣国へ旅する時にインターナショナルバゲージ(国際便)や、スイス国内の移動にはライゼゲペック(国内便)、スイス国内の当日・翌日配送を希望する場合は、ファストバゲージ(特急便)などのサービスがあります。

鉄道網が発達している欧州では、ローマやフランクフルト、パリ、コペンハーゲンなど、他にも空港に鉄道が通っている国や都市は珍しくありません。その中でもスイスは、早くから航空と鉄道のコラボを実現し、他国のお手本となった国です。

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