LCCに活路を見出し奮起する成田空港の未来やいかに・・・

民主党政権時代、当時の国土交通相だった前原誠司氏は、羽田空港をそのころ隆盛を誇っていた韓国の仁川国際空港に伍するハブ空港とするという構想を掲げ、それにより羽田空港は再度国際空港化されました。

アジアのハブ空港という地位はその後シンガポールのチャンギ国際空港や、中国の北京首都国際空港などがその覇権を争い、規模で劣る羽田空港は蚊帳の外になっているとはいうものの、国際空港化のおかげで利便性が高まり、いままで仁川国際空港で乗り換えていた日本人客が羽田を利用するようになったことで「日本のハブ空港」としての地位は高まっているようです。

羽田空港の国際空港復帰は首都圏住民には概ね歓迎され、特に都内のビジネスマンにとっての恩恵は非常に大きく、民主党政権が残した数少ない正の遺産といえるでしょう。

羽田空港はC滑走路の延伸や国際線ターミナルビルの拡大など、2020年の東京オリンピックに合わせた更なる利便性向上には怠りがありません。

そうした羽田空港の発展による影響を受けたのが、日本の首都空港としてのポジションを奪われる形となった成田空港。成田空港は単純に首都圏からの遠さで評判が悪く、また2015年にようやく廃止されましたが、鉄道駅から空港に入るにもわざわざパスポートを出し、時には並んで荷物チェックを受けねばならないという煩雑さもありました。

首都圏に近い羽田空港に利用客が流れたのは理の当然であり、成田空港の利用客はどんどん減少していっています。

LCCに活路を見出す成田空港

そういった状況で成田空港が活路を見出したのがLCCでした。LCCというのは、欧米では数十年の歴史がある業態ですが、日本で注目されたのは、2010年にマレーシアのエアアジアXが羽田に乗り入れた頃でしょう。

その後、2012年になって、海外企業との合弁であるピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンなどが相次いで設立され、そのうちジェットスター・ジャパンとエアアジア・ジャパンは成田からの便を就航させました。

国内で運行されるようになったLCCは、それまでの航空券の常識からは考えられなかった低価格によって、最初は若年層からの人気を得、その後徐々に中高年の利用者も増えるようになり、需要も拡大していきました。

成田空港は第2旅客ターミナルのはずれにプレハブ造りの簡素な暫定ターミナルを建設。当初はエアアジア・ジャパン1社が使用していましたが、その後ジェットスター・ジャパンと春秋航空日本も使用するようになり、マレーシアのエアアジア本社がANAと合弁を解消したことで、エアアジア・ジャパンから改称したバニラエアも使用していました。

そして、成田国際空港会社は2014年にLCC専用第3旅客ターミナルの建設を発表。2015年4月に、予定通り第3旅客ターミナルが開業し、暫定ターミナルを使用していたバニラエア、ジェットスター・ジャパン、春秋航空日本が移転したのに加え、ジェットスター航空とチェジュ航空が使用しています。

このうち、バニラエアとジェットスター・ジャパンは国内線と国際線双方を運行していますが、第2ターミナル使用時に別々だった国内線と国際線のチェックインカウンターが一か所になったために、効率的な運用ができるようになったそうです。

しかし、第3ターミナル開業時、成田空港に乗り入れているLCCはその5社のみではありません。他に第1ターミナルを使っているLCCとしては、ピーチ・アビエーションと韓国のエアプサン、第2ターミナルには中国の香港エクスプレス航空、台湾のタイガーエア、フィリピンのセブパシフィック航空、タイのタイ・エアアジアX、マレーシアのエアアジアXなどがあります。

第3旅客ターミナルには旅客処理能力にまだ余裕があり、またサービス施設使用料も第1・第2旅客ターミナルより安く設定されているということで、成田国際空港会社は他のLCCにも移転を呼びかけ、また新規就航のLCCに対しては最大1年間着陸料を無料にするなど積極的に誘致を進め、路線開設を支援するとしています。

徹底コストカットで建設された第3旅客ターミナル

成田空港がアジアの中でのハブ空港競争から落伍している原因の一つとして、着陸料の高さが挙げられます。また、所謂「空港税」であるサービス施設使用料も、国内の他の空港に比べても割高です。特にサービス施設使用料の高さは、安さを求めてLCCを利用しようという乗客には非常にネックになります。この点は第3旅客ターミナル建設にあたって、各LCCからも改善を求められていた点でした。

そこで第3旅客ターミナルは極力コストをカットする方向性で建設されています。

まず、天井には天井板がなく排気ダクトなどが見えてまるで工場のよう。第2旅客ターミナルからのアクセス通路には、天井がついているものの壁は非常に簡素で雨風が吹き込む仕様。アクセス通路やターミナル内には、動く歩道が設置されていないかわりに陸上のトラックのように色分けされたルートが作られています。

そして、ターミナルから直接飛行機に接続されるボーディングブリッジはなく、飛行機に接続された屋根付きタラップまで蛇腹式の簡素なエプロンルーフが伸ばされ、乗客はそこを通って搭乗します。

しかし、再国際空港化される以前の羽田にチャイナエアラインが就航していた時代には、飛行機までバスで移動し、バスからタラップまで屋根のないところを歩くということもありましたので、それよりはかなりマシでしょう。

このようにして建設された第3旅客ターミナルの総建設費は150億円。これを1平方メートルあたりに割ると、第1・第2旅客ターミナルの建設コストに対して40%安いそうです。

とはいえ、ただ安普請にしているというわけではなく、待合室には利用客が仮眠できるようなソファーを100席以上用意しているのに加え、国内空港では最大級というフードコートも、飲食店の営業時間外でも休憩所として開放しています。また、早朝便の乗客のためにフードコート各店は朝の4時から開店することになっているなど、利用者が快適に過ごせるような工夫が随所になされています。

日本国内に雨後の竹の子のごとく発生したかのように見えるLCCですが、実は欧米におけるシェアと比べると1/4程度のシェアしかなく、まだまだ伸びしろがある業態のようです。成田空港は、その伸びしろの部分を取り込んで復活できるでしょうか?

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