日本企業も参入したリージョナル機

サウスウエスト航空とともに、アメリカには他にもジェットブルーというLCCがあります。LCCというと安さを売りにしているイメージがありますが、このジェットブルーはそんなイメージを変えた航空会社。

まず機材は、他のLCCと同様、エアバスのA320を主力としていますが、ブラジルのエンブラエル社の190型機も保有しています。このE190型機は100席仕様で、ジェットブルー社はE190型機のローンチカスタマーです。

ジェットブルー航空では手荷物料金は50ポンド(約22kg)までは無料で、機内では他のLCCとは異なり、軽食やドリンクが無料となっています。

また、後半席のシートピッチの拡張やシートのグレードの向上、シートそのものは革張りであるなど、他のLCCと比べ、サービスの良さを特長としています。料金は他のLCCに比べると少し高めですが、これらのことを考えると値段に納得している利用者は多いようです。

実際、ジェットブルーでは、基本的なサービスは提供し、クオリティの高いLCCを目指す、というのを基本方針としています。アメリカ合衆国の国内線に加え、メキシコ、カリブ海諸国、南米北部への国際線を運航しています。

では、このジェットブルーが使用するE190とはどのような機体なのでしょうか。エンブラエル社のE-ジェットは70席程度のE170が基本の型です。そのE170の胴体を延長したものがリージョナルジェット機と呼ばれるE190で、座席数は100席程です。

空気抵抗を低く抑えるように設計され、燃費効率もよく、運行コストも低く抑えることが出来るため、利用者の多い路線でも臨機応変に増便できるというメリットがあります。

E190を使用するLCCは他にもオーストリアのニキ航空があります。同社もA320とE190を路線によってうまく使い分けて運航しています。

他にもドイツのエアベルリンでは、A320や737とともに、E190よりも少し小さい70席程度のプロペラ機DHC-8-Q400を運航しています。

このプロペラ機DHC-8はデハビランド・カナダが開発し、ボンバルディアが受け継ぎました。

以上のような小型ジェット機はリージョナルジェットと呼ばれ、世界の航空機市場で需要が高まっています。そして、この急成長市場に、日本の航空産業が約40年振りに国産旅客機を参入しようとしています。

「地域」を表すリージョナルという言葉が示す通り、長くとも2000km以内(東京・北京間に相当)の航路を結ぶことが多く、滑走路も短めで済むため、小規模な空港も利用できることから隙間市場で重宝されています。

RJ市場は、二つのメーカーが先導しており、一方がカナダのボンバルディア・エアロスペースで、1991年に初飛行を行ったCRJ100(50席)がこの市場のパイオニアといわれています。座席数に応じて数シリーズを販売しています。

もう一方がブラジルのエンブラエルで、CRJの成功を受けて、1995年にERJ-145(50席)を初飛行させました。

このリージョナルジェット機は、中長期的に需要が拡大する見込みで、今後15年におけるRJの新規需要は約4300機に及ぶと予測されています。

この新市場に、日本の航空機産業が参入しています。それがMRJ、三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機です。現在予定されている機種はMRJ70(70席程度)とMRJ90(90席程度)の二系統で、騒音と環境負荷の低減が大きな特徴となっています。

他にもロシアのスホーイSSJ100シリーズ、ウクライナのアントノフAn-148、中国商用飛機有限公司のARJ21シリーズと、競争相手が世界中にいます。

国産のRJ機がこのような厳しい競争で勝ち残るには、高い技術力と営業力が必要となります。しかし、日本にとって国産旅客機はYS11以来約40年振りの航空機市場への参入となるため、ネガティブな意見もあります。

とはいえ、この機会を逃すと、日本の航空産業にとって再生のタイミングを長く失うことになりかねません。RJ市場は日本の航空産業の行方を占う試金石となるでしょう。

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