スウェーデンで世界初の「遠隔管制」成功

飛行機というのは民用・軍用にかかわらず必ず航空管制を受けて飛行しています。空港の管制塔にあって航空管制を行っているのが航空管制官です。日本国内の管制官は全て公務員で、民間空港の管制官は国土交通省、自衛隊の管制官は防衛省に所属しています。例外として、米軍基地では日本人ではなく米軍の軍人が管制を行っています。

しかし、国によっては航空管制が民営化されているところもあります。北欧・スウェーデンもそのような国の一つで、管制業務は航空管制業務公社LFVが行っています。

そのLFVは2015年5月に世界初の遠隔管制を行いました。LFVは、まずストックホルムの北、ボスニア湾に面したエルンシェルツビクのエルンシェルツビク空港に遠隔航空管制施設を開設。エルンシェルツビクの南に位置するスンツヴァルを出発し、エルンシェルツビクに到着した飛行機を、スンツヴァル側の管制施設に送られる情報によって遠隔管制しました。

エルンシェルツビク空港の遠隔航空管制施設からは、カメラとセンサーによってスンスバルの管制官に現地の状況が中継され、管制官はそれに従って飛行機を誘導。通常の管制業務とまったくかわることなく、円滑に着陸が行われました。なお、スンツバル-エルンシェルツビク間はおよそ150km。これは日本橋を起点とした静岡県の由比までの距離とほぼ同じです。

LFVはこの遠隔管制システムを、順次スウェーデン各地の空港に導入していくとしています。ただ、遠隔システムによって管制業務をどこかに集約した場合、本当に的確に各地に向かった飛行機をさばききれるのかという危惧はあります。

また、遠隔管制施設との情報リンクは途切れることがあるという可能性も排除できません。もし何かの障害や事故によって現地の情報が得られなかった場合にはどうするのでしょうか?

そして、仮に全ての航空の管制が一か所で行われるようなことになった時、その管制センターがテロの標的になることはないでしょうか?

そう考えると、管制という極めて重要な業務を遠隔化してしまうのは考えものだと思います。

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