航空日誌を確認し、コックピット内をスキャン、FMSに入力

<航空日誌>

機長、副操縦士がコックピットに来たときに、航空整備士から航空日誌を渡されます。これは、機体の最新の状況を機長に伝えるためです。

『この機体はA整備を終えたばかり、A整備する前は、特に不具合はありませんでした。A整備でタイヤ2本を新品に交換しました。』

だいたいそういった内容で、飛行機が健康診断を受けたのはいつだったか、最近ケガをしていないか、ここ数日の体調はどうだったかを書いてあるようなもの。

ジャンボ機よりはるかに簡単な構造の自転車でも、タイヤを新しくしたり、ブレーキの調整を変えただけで、走ったときの感じが変わります。どこを調整したか知らなくても走れますが、最近どこをいじったか知らせてもらうほうが、自転車で走る人にとっては好都合。

ジャンボ機は自転車とはケタ違いに部品が多い上、構造もはるかに複雑。最新の整備状況を報告してもらうことは、操縦者にとっても良い情報源となるのです。

その後、航空法で「コックピットに置かなければならない」とされている品物が決まっているため、それがすべて揃っているかの点検。航空機登録証明書、耐空証明書(自動車の車検証のようなもの)などの必要書類。消火器や救命胴衣など、非常時に必要な品も確認します。

<コックピット内のスキャン>

航空日誌と装備品のチェックが終わったら、機長と副操縦士がそれぞれの席に座ります。

コックピット全体は巨大なジャンボ機のものでありながら非常に狭く、機器の構成はともかく、トラックの運転席と変わらないような感覚です。

周囲の計器やスイッチ類すべてに目や手が届くようになっているのも、狭さの理由。いちいち席から立ち上がらなくとも、全長70メートルの機体をコントロールできます。

座席についたら、まずスキャンと呼ばれる方法でコックピット内を点検。

スキャンとは、画像を小さな点や細い直線に分解して電気信号に変換すること。それに似たやり方で、コックピット内を所定の手順で縦横に直線的に目配りすることで、計器やスイッチ類に異常がないか、目視で点検をするのです。

1.オーバーヘッドパネル 頭上に配置されているスイッチ類を、左、中央、右の順に、背後から手前方向に直線的に目視。最後に左から右へ全体を目視して終わり。

2.自分の目の前にあるパネルのうち、上方がグレアシールド・パネル。左から右へ目視。

3.同じく自分の目の前にあるパネルについて、自分の左右からそのパネル中央に向かって目視。パネル中央はオートフライトですから、そこは上から下へ目視。

4.オートフライトの目視を下へ延長すると、コントロールスタンドです。二つの座席の間にあり、細長いテーブル上のコンソール。手前から後方まで目視して終了。

<FMSに空港とルートを入力>

スキャンによる点検が終わったら、FMSにジャンボ機が駐機しているスポットの番号を入力します。ルート・ページに「RJAA」と「KLAX:2」と入力します。

4桁のアルファベットは個別の空港を示すコード、ICAO(国際民間航空機関)によるものです。「RJAA」は成田空港、「KLAX」はロサンゼルス空港。「KLAX:2」の「2」は成田からロスに向かう8種類のルートのうち、2番目のルートです、ということ。

FMSのコンピューターには、空港内のスポットの緯度や経度、ルートの詳細が登録されていますから、フライトプランで合意したルートに相当する番号を入力するだけでいいのです。

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