災害救助活動現場のヘリコプターに適用される特例とは?

近年日本各地で毎年のように起こっている豪雨災害や台風による水害が発生しており、救助活動にあたる自衛隊のヘリコプターに住民が救助される場面をテレビ等で頻繁に目にします。

人命救助の際、ヘリコプターの飛行高度は救助を行う地点から20~30m程の高度をホバリングして維持し、ヘリコプターから被災者を吊り上げる装置(ホイスト)のワイヤーを伸ばして救助活動を行います。

このような低い高度で飛行(ホバリング)するのは、吊り上げる装置(ホイスト)のワイヤーの長さが最大70m程と限られている上、救助活動を行える最大高度が50m程のため。

救助の際、ヘリコプターはかなり低い位置を飛ぶことになりますが、航空法第81条には「航空機は、離陸または着陸を行う場合を除いて地上または水上の人または物件の安全及び、航空機の安全を考慮して、国土交通省が定める高度以下で飛行してはならない(以下略)」とあり、本来であれば航空法に抵触してしまいます。

その「国土交通省が定める高度」とは、航空法施行規則第6章「航空機の運航」にある第174条「最低安全高度」において触れられているものです。この条文を大まかに要約すると「人口密集地では高度300m以上、人家の無い地域では高度150m以上で飛行しなければならない」となっています。

ただ、この「国土交通省が定める高度」では前述の通り吊り上げ装置(ホイスト)のワイヤーの長さが足りません。そこで、航空法第81条の2に該当する「捜索又は救助のための特例」が適用されることにより、「国土交通省が定める高度」以下での飛行が認められているのです。

また、災害救助活動の現場が別のヘリコプターから撮影され、報道されることがありますが、かなり近くで撮影しているように見えます。

ただ、報道機関のヘリコプターは「捜索又は救助のための特例」が適用されていないため、低空を飛行することはできません。それでは何故あのような迫力ある映像が撮影できるのでしょうか?

それは報道機関のヘリコプターに搭載されているテレビカメラを固定する装置に秘密があります。超望遠レンズの映像がブレないようヘリコプターの振動を吸収する装置が使われており、その装置によって私達は災害救助活動現場の鮮明な映像を目にすることができるのです。

災害救助活動現場で報道関係のヘリコプターが、自衛隊の救助活動をするヘリコプターの邪魔をしているように見える映像も、実はかなり遠くからあの装置を使って撮影されたもので、実際の現場ではかなり距離が離れた場所から撮影されているものなのです。

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