飛行機に乗っていて耳が痛くなった時の対処法

航空関係の仕事は、一般的に見てもかなり特殊な環境にあるといえるでしょう。地上で行なわれる整備もそうですが、高度1万メートルの上空で勤務するパイロットや客室乗務員はやはり別格です。

さて、いろいろな仕事にはそれに特有の弊害、いわゆる職業病がつきものです。たとえば作家や漫画家などでは腱鞘炎、立ち仕事の人では足のむくみなどがあります。同様に空の上で働く人たちにも共通の職業病が存在します。それが中耳炎です。正確には「航空性中耳炎」と呼ばれています。

飛行機は到着目的地に着く30分ほど前から下降をはじめますが、その際に耳が詰まったり、痛んだりした経験はないでしょうか。これは、機内の気圧の変化によって圧迫された鼓膜が、内側にへこんだりすることで起きる現象のひとつです。健常時ならばほぼ問題はないものの、風邪などで咽頭に炎症を起こしていたりすると、鼓膜が元の位置に戻らなくなり、耳痛、さらにひどいときは鼓膜が破れてしまうこともあります。

この症状は、常に高度1万メートルを上昇・下降する、砂漠並みに乾燥した機内にいるクルーにとって、非常に身近な疾患となります。パイロットや客室乗務員は、乗務の前日までに風邪などが治らなかった場合、スタンバイのクルーにバトン夕ッチすることになります。航空性中耳炎で乗務を離れると、症状によっては1週間近くも休まなければならないからです。

ここで問題なのが、この症状は飛行機に乗る人に平等にかかわるもので、乗客にとっても同様のことがいえるという点です。つまり、多少の風邪や花粉症などでも出張に行かなければならないサラリーマン諸氏にとっても、大いに意識すべき問題というわけです。

つばを飲みこんだり、あくびをするだけですむ場合もありますが、簡単で効果的な予防手段としては、降下前に水やジュースを頼み、降下中に耳が詰まった際、少量をロに含んで一気に飲みこむという方法があります。これを数回続けることで、鼻の奥から耳管という管を通して空気が流れこみ、内側にへこんだ鼓膜を元に戻す力が働きます。

ほかに水泳のときなどに行なう「鼻抜き」も有効です。また到着前に寝てしまうと、つばを飲みこむ回数が減るため、状況を悪化させてしまうこともあります。身体の調子が悪いからといって、お酒でも飲んで寝ちゃおうというのは、実はかなり危険な行為だということを知っておいていただきたいものです。

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