航空機のブラックボックスは2つある!?

航空機のブラックボックスには、関心の高い人が多いようです。そういった方が知って驚くのが「ブラック・ボックスは黒くない」「ブラックボックスは2つある。1つではない」、という事実。

また、コックピットの音声を録音する道具であるためか、「コックピットに置いてある」と思う人が多いようです。実際には機体後部のトイレのあたり、天井近くに置き場所を作ることが多いようです。

トイレのそばと聞いて「旅客機内で起きたすべての出来事を録音してくれる装置」と錯覚する人がいますが、客室の録音まではできません。

ブラックボックスに記録できる録音量が限られているからです。「コックピット限定、30分間のみ」となります。

ボックスの外見は、国や機種によってさまざまですが、どれも2つの箱で一組になっていることが多く、2つが一体化しているタイプもあります。これは、FDR(フライトデータレコーダー)とCVR(コックピットボイスレコーダー)に分かれているためです。

<FDR>

FDRは「飛行機がどこをどのように飛んでいたか」「どういう操縦が行われたか」を記録するものです。

近年はブラックボックスもデジタル化で、DFDR(デジタル・フライト・データ・レコーダー)が登場しています。デジタル信号で飛行データや操作を記録できて、記録容量が多くて便利。電源が尽きてもデータが消えない構造になっています。

それ以前は、ステンレスのテープに飛行中の高度、速度、機首方位、加速度、時間などを記録していました。昔はコンピュータでも、音声の録音でも、記録は磁性体を塗りつけたテープによるものでした。それをもっと頑丈にしたような仕組みです。

<CVR>

CVRはコックピットの音声を記録するもので、やはり一定時間、常時上書きをくり返しています。こちらも半導体に長時間録音できるものに進化しつつあるそうで、すでに導入が始まっているかもしれません。

CVRはステンレステープではなく、30分の磁気テープです。上書きをくり返す形で録音し続けて、常に最新の音声が記録されるようになっています。

<迅速な発見のために>

ブラックボックス本体は飛行機に固定してあります。

ですが、万が一それが取れてしまうと空から地面に落ちてしまうわけですから、どんな環境にも耐えられるよう、きわめて頑丈に作られています。

ボックスの種類によっては、位置通報用の音響発信機(アコースティック・ビーコン)を内蔵しています。山や海など見つけてもらいにくい場所に落ちたときでも、現在位置を電波で発信して、自分の位置を地上に報せます。

より早く人に見つけてもらえるよう、ブラックボックス本体も赤やオレンジ、ホームセンターで売っている道具箱みたいな派手な色をしています。海外のブラックボックスには、見つけた人が「これはなんだろう」と思って開けないよう、表面に「開けるな」と大きな文字で書いたものがあるそうです。

1000Gの衝撃も大丈夫、火災に遭っても1100℃の高温に30分間耐えられるので問題ありません。海中に沈んだときの耐水性も48時間。これは、発信機がついているし、2日もあれば発見してもらえるからです。

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