知っているようで知らない「チャーター便」って?

2014年12月29日、ガルーダ・インドネシア航空のチャーター便が札幌の千歳空港に乗り入れました。これは海外からの観光客を積極的に誘致している北海道が、その一環として旅行会社JTBに呼びかけ、JTBがガルーダ・インドネシア航空に要請したことで実現しました。

これまでインドネシアのみなさんが北海道へ行くためには、インドネシアのスカルノハッタ空港から羽田か成田まで来て、そこから札幌便に乗り換えるなどの必要がありましたが、このチャーター便により初めてインドネシアと北海道が直行便で結ばれることになります。

さて、今回のこのニュースのように「チャーター便」という言葉は耳にすることも多いとは思いますが、それがどのようなものかを正しく説明できる人はなかなかいないのではないでしょうか?

ということで「チャーター便」とはどんなものかを解説したいと思います。

○チャーター便とは?

まずチャーター便の定義を簡単に説明すると、定期便とは別の形で特別に飛ぶ便のこと。

これには定期便がない空港間に直行で飛ばす上記のインドネシア-札幌便のようなもの、定期便があっても、例えば人数が多い団体旅行などに応じて定期便とは他に飛ばされるものがあります。主に旅行会社や航空会社が飛行機を借りきって実施します。

 国土交通省は国際チャーター便については三つの形態を定義しています。

1.オウンユースのためのチャーター
2.アフィニティ・グループ(旅行以外に主たる目的を有する法人又は団体であって、チャーター便の運航に係る申請以前から法人又は団体としての実情を有しているものをいう)が用機するチャーター
3.包括旅行チャーター

以上どのような形態であれ、チャーター便を飛ばすためにはあらかじめ国土交通省に申請を出さなければいけません。

以下それぞれの形態について説明します。

○オウンユースのためのチャーター

これは、個人又は法人が飛行機を借り切るチャーター便です。

例えばアーティストのコンサート・イベントの移動のためであるとか、スポーツ選手、例えばサッカー日本代表の海外遠征のためのチャーター便がこれにあたります。ヤンキースの田中将大選手が渡米した時に自腹でチャーター便を飛ばしましたが、これもオウンユースのためのチャターということになります。

いずれにしても一般庶民とは最もかけ離れた形のチャーター便といえるでしょう。ちなみに田中選手の渡米にかかった費用は推定5千万円と言われています。

○アフィニティ・グループが用機するチャーター

「旅行以外に主たる目的を有する法人又は団体であって、チャーター便の運航に係る申請以前から法人又は団体としての実情を有しているものをいう」というまさにお役所仕事の無駄に難解に書いてある定義ですが、この条件に当てはまるものとして一番わかりやすいのは修学旅行です。

修学旅行は実際にはただの団体旅行ですが、建前的には旅行以外、つまり旅行先での学業が主たる目的となっています。そして、学校というのはもちろんチャーター便の申請以前から団体としての実情がありますので問題なくここに当てはまります。

いまどきは海外に修学旅行に行く学校も少なくないですね。近隣では韓国や台湾などのアジア諸国、遠くはハワイやヨーロッパまで行くというお金持ちの学校もあります。

修学旅行以外の利用となると、例えば企業や役所の視察旅行、研修旅行といったものも入るでしょう。公務員の公費を使っていながら視察とは名ばかりの慰安旅行が問題になることもありますが、とりあえず建前上条件を満たしていればチャーター便は運行できます。

なお、以前日本では飛行機を借り切るのは単一の個人、または法人でなければなりませんでした。つまり、田中選手のように自分の移動のため自分だけでチャーターするといった形でなければ許されていなかったのですが、現在では規制緩和されて、複数個人、複数企業でチャーターできるようになっています。

○包括旅行チャーター

最も一般的な意味で使われており、かつ数が多いのがこのチャーター便です。

旅行会社が定期便がない地域へのチケットとホテルを含めたパッケージツアーを実施するときなどに、それに応じて航空会社が運航します。

 例えばJTBで見てみると、

・日本航空チャーター往復直行便で行く チナ温泉と神秘のオーロラ満喫の旅6日間
・日本航空チャーター直行便で行く!アラスカ・オーロラ6日間
・新千歳空港からチャーター便で行くペナン島6日間
・福岡から直行チャーター便で行くマカオ4日間

といったチャーター便を利用したツアーがあります(上記ツアーは2014年12月現在のもの)

上記のインドネシアからのチャーター便も包括旅行チャーターということになります。

こういったツアーの魅力は、普段定期便がないために飛行機を乗り換えなければ行けなかったようなところへ直行で行けるということ。特に直行便が少なく、結局国内移動で羽田、成田、関空といった大きな空港に飛んでからでなければ目的地に行けないというような地方空港利用者にとっては非常に大きな魅力となります。
 
○チャーター便の準備

上記の通りチャーター便は定期便がない空港への直行のものが多くなります。そのためには、事前にいろいろな準備が必要となってきます。

JALの場合はチャーター便の準備には1年ほどかけるとのことです。なぜ1年もかける必要があるのかというと、まず目的地へ向けた航空路を決めなければいけません。

航空路というのは高度や方向などを含めた道なき空の道とでもいうべきものです。決められた航空路があるので「目的地までまっすぐ飛べばいいや」というわけにはいかないのです。

次に、そもそもチャーター便に使用する飛行機を確保しておかなければなりませんし、それを整備するスタッフも必要です。当然パイロットや客室乗務員も用意する必要がありますし、目的地の空港で利用客に対応するためのスタッフもいります。

JALでは、定期便の中から定期検査のために外れる機体を利用して、検査に支障がない程度に定期便から外れる期間を延長し、チャーター便にあてているようです。

このような準備を経て、300項目以上のチェックリストをクリアした後に、やっとチャーター便の運航を国土交通省に申請します。

○緊急時のチャーター便

オウンユースのためのチャーター便には上記以外のものが存在します。それが災害、戦争、政変などといった時に在外邦人保護のために運行される緊急時のチャーター便です。

これは日本政府などの特定団体が借り切るという形になるために、形態としてはオウンユースの扱いになります。

ちなみにJALにはイラン・イラク戦争時、在イラン邦人救助のためのチャーター便派遣要請を拒否したという前科があります。このときは親日国といわれるトルコ政府が日本政府の要請に応じてトルコ航空のチャーター便を増便してくれたおかげで215人の日本人が助かりました。

○チャーター便を利用するには?

旅行者主催の包括旅行チャーターでのツアーであれば、敷居が高いように思えるチャーター便の敷居も多少は低くなります。

包括旅行チャーターのツアーが増えるのは、やはり夏休みや冬休みの時期。一般的な定期便のチケットやツアーは3ヶ月前ぐらいから販売されるようになるのに対し、準備に1年を要するチャーター便の場合は半年ほど前から販売される傾向にあるようです。

特に夏休みに実施されるツアーはその前年の12月あたりの年末商戦に販売されることが多いので、なかなか行けない国に行ってみたいというような人は、年末年始にチャーター便のツアーを探してみてはどうでしょうか?

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