旅客機の胴体は太い方がいい?とれとも細い方がいい?

旅客機の胴体は、太さによって、3種類に分けられています。

ジャンボ機(ボーイング747)に代表されるような、太い胴体を「ワイドボデイ」(広胴型)といいます。胴体幅が6m前後あり、客室の通路が2本あるのが特徴です。2本の通路をはさんで、横1列に「2-4-2」(計8席)、あるいは「3-4-3」(計10席)の並びで座席が配置されています。

ワイドボデイはジャンボ機以降に登場した、比較的新しいタイプですが、それに対して、昔ながらの細い胴体が「ナロウボデイ」(狭胴型)。胴体幅が3・5m以下で、通路は中央に1本、「3-3」(計6席)と配置するのが一般的です。

他にも、「ワイドボデイ」と「ナロウボデイ」との中間の位置づけ、とされているタイプがあります。「セミワイドボデイ」です。セミワイドボデイは胴体幅が5m、通路2本をはさんで「2-3-2」(計7席)と配置されていて、これはボーイング767型機だけです。

胴体を「ワイド」にするか「ナロウ」にするかは、旅客機を開発・製造する際の基本構想の段階で決められます。より多くの乗客・貨物をのせるためには「ワイド」、短距離路線で乗客数や貨物量がかぎられているなら「ナロウ」というわけです。

しかし、近年の世界の航空市場は「長距離・大型輸送」へ流れる傾向があり、その影響で「ワイド」「セミワイド」が主流となっています。旅客機の胴体を決めるとき、太くするか・細くするかという問題のほかに、長くするか・短くするかという問題もあります。

太いか細いかは「輸送量」に関連してきます。それに対し、長いか短いかは「航続距離」を決めるカギとなるのです。

なぜそうなのかは、まず「より長く飛ぶためにはどうしたらいいか」を考えてみましょう。

旅客機の航続距離を長くしたければ、より大きな燃料タンクを積んで、燃料を多く積むとよいのです。たくさん燃料を積めば、長く飛べます。ただ、そのためには機体の改造が必要となってしまいます。

乗客数・貨物量を大幅に減らす、という方法もあります。でも、それをすると運賃も減ってしまうので、乗客一人当たりや、貨物一つあたりの運賃を値上げしないといけないかもしれません。

エンジンを改良・開発し、パワーアップさせるのも一つの方法です。それにはとてもたくさんのコストと時間がかかるのが問題です。

そこで「もっと手っとり早く航続距離を延ばす方法」として採用されるのが、既存機種の「短胴化」です。胴体を短くすれば、エンジン性能や燃料タンクの容量はそのままでも、客室と貨物室のスぺースが減ります。

つまり、乗客数と貨物量を少しだけセーブして、そのぶん遠くまで飛ばそうという発想なのです。

たとえば、エアバス「A340-300」型機の全長を、約4m縮めた「A340-200」型機は航続距離を1700km伸ばしています。4mぶんの乗客や貨物をセーブしたかわりに、1700km長く飛べるようにしたのです。

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