飛行機が空中に浮いていられる原理とは

対向車のめったに来ない道路を自動車で走る機会があったら、こんな実験をしてみてください。走行中の自動車の窓から進行方向に向かって腕を出し、指先をそろえてピンと伸ばしてみます。次に、手のひらを少しくぼませ、指を軽く曲げて、ゆるやかな山型をつくってみましょう。

すると、手は急に浮き上がるはず、そして、再び指先をそろえて手をまっすぐに伸ばしてみましょう。浮き上がった手は、もとどおり沈みます。これが飛行機が浮き上がる原理。

丸みを帯びた手の甲側では空気(風)が速く流れ、手のひら側では空気(風)は遅く流れます。この速度差が手の甲側の圧力を小さくし、手のひら側の圧力を大きくして浮き上がる力を生み出しています。この力を「揚力」といいます。旅客機の胴体、主翼、尾翼を見るとわかりますが、すべて下側のラインが平らで、上側は丸みを帯びた形をしています。つまり、浮き上がりやすい形につくられているのです。

しかし、揚力だけがまさると、飛行機はどこまでも上昇しつづけてしまいます。そこで、揚力の反対方向に働く力もある程度必要となります。これが、地面のほうに向かって働く力、「重力」です。揚力と重力が釣り合っていれば、飛行機は水平に飛ぶことができるのです。

もし揚力と重力しかなければ、旅客機はただ宙に浮いて止まっていることになります。機体を前進させる力、「推力」も必要です。ただし、推力が常に大きければ、飛行機はどんどん加速していき速度調節ができません。一定速度を保ちながら飛ぶためには、推力とは反対に、機体を後方に引っ張る力の「抗力」も欠かせません。抗力は揚力にともなって発生する力なので、揚力が大きくなると抗カも大きくなります。つまり、あまり高く浮き上がると、失速してしまうのです。

主に主翼によって生み出される「揚力」と「抗力」、機体自体の重量を生かした「重力」、ジェットエンジンのパワーが生む「推力」、これら4つの力がうまくコントロールされることで旅客機は飛行できるのです。

関連記事

ページ上部へ戻る