飛行時間を短縮するジェットストリームとは?

車で自宅を出て、最寄駅まで行こうとしたら、一番近いルートが、たまたま道路工事中で通れず、電車に遅れそうになった。

こういったことを防ぐためには、前もって道路情報を集めておいたり、遠回りの別のルートを用意しておかなければなりません。

旅客機の日々のルート選択も、それと同じようなことをしています。

ジャンボ機の機内誌などの地図に描かれている各路線の飛行ルートは、二つの地点を最短距離で結んだもの。

ところが実際のフライトでは、その地図に描かれた線どおりに飛んだら最短時間かというと、そうではありません。その日の気象条件などを考慮し、最も短時間で効率よく飛べるルートが選択され、そこを飛行することになるのです。

これは「ミニマム・タイム・トラック(MMT)」と呼ばれるもので、海外旅行では、行きと帰りで飛行時間が違うことがありますが、これはそれぞれに最適なルートを選択した結果です。

成田/ホノルル線で考えてみましょう。

最短距離は6200キロ、平均時速850キロで飛行すると、約7時間17分かかります。

これよりは300キロ遠回りになりますが、そのかわり、追い風の偏西風を利用できるルートがあります。偏西風は一方通行の高速気流で、中でも特に強い気流は「ジェットストリーム」と呼ばれ、平均時速80キロの追い風となるのです。

そのルートでは、旅客機は平均時速930キロで飛ぶことができ、所要時間が7時間ですみます。たった17分の短縮なのですが、その間に使用される燃料は何トンにもなり、その分の燃料を搭載せずに済むので、機体が軽くなって、燃料の節約になります。

日々のフライトで、効率のよいルートを選択できるかどうかが、エアラインの経費削減を左右しているのです。

ジェットストリームの影響は特に冬場に受けることが多く、ハワイや東南アジア方面から日本に向かうとき、このおかげで時速1100キロを超えることも珍しくないそうです。

台北から東京までは通常4時間のところ、冬場はジェットストリームに乗って、3時間ちょっとで着いてしまうことがあるそうで、この短縮でパイロットの負担も軽くなります。

パイロットの話によると、追い風のジェットストリームに乗って飛ぶのは快適で、飛行後の疲れ方が全く違うということです。

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