ヘヴィメタルでワールド・ツアーな機長が「飛行機リースしますよ・・・」

航空業界のネタといえば、あのLCCの機長の人数が足りないとか。この航空会社がそこの路線から撤退したとか。でももう少し、派手なお話といきましょう。少し派手とかではない、「ド派手」というべきですが。

アイアン・メイデンです。

アイアン・メイデンですよ。このあと、なんの説明を書けばいいのでしょうか。

現在までのレコードセールス8500万枚。世界で最も成功しているヘヴィメタル・バンドです。厳密には世界で最も成功しているヘヴィメタル・バンドの一つだそうですが、いまさら何をの感じがしますが、イギリスのヘヴィメタルバンドです。

1975年にロンドンで結成され、1980年代のヘヴィメタル・ブームを牽引。

しかも、アイアン・メイデンのリードボーカル、ブルース・ディッキンソンが、2012年から、航空機のリース会社「Cardiff Aviaion(カーディフ・アビエーション)社」を立ち上げているそうです。

さすがパワフル。今いくつなんだ。あの重厚で強烈な80年代を音楽で牽引しただけのことはあります。おそるべきパワーというしかありません。

このカーディフ・アビエーションは、航空業界でも評判のよいベンチャー企業に成長しているそうです。

サウスウェールズを拠点に、英国空軍の整備施設だった設備を活用して、航空機のリースや機体整備、パイロットの育成などを行っています。ビジネスとしては非常に順調、数年以内に航空機を10機ほど増やす予定があります。

航空機リースの方は、業界でウェット・リースと呼ばれている形式のリースです。航空機だけをリースするのではなく、機体の整備、パイロットや客室乗務員などの必要なスタッフも、セットでリースしてくれる形態です。

一曲でいいので、ディッキンソン氏も飛行機とセットでリースしてくれませんかと思ってしまいますが、どうせ会社に断られるんだろうなあ。

「そういうオプションはやっておりません。それに一曲フルコーラスは図々しすぎです」とかね~。

2013年に開催されたルフトハンザ航空の50周年記念行事では、ディッキンソンが基調演説を行ったそうです。これはもう相当な美声の基調演説となったことでしょう。なんか歌ったんだろうか。期待しすぎでしょうか。ルフトハンザ航空は、2014年FIFAワールドカップに優勝したチームを母国まで運んであげた航空会社です。あの時の飛行機の模型というのが売ってるんだそうです。さすが商売!欲しい!

ドイツ優勝嬉しい!はともかく、ともかくとかじゃないけど・・・、ディッキンソンは音楽業界から航空業界への参入となったわけで、派手から派手へと参入しただけ、両業界の間は、なんの関連性もないように思われますが、関連性があります。

アイアン・メイデンのワールド・ツアーで世界中をまわったディッキンソンは、当然、世界中のいろんなことを見聞きします。これがただボーッと見聞きするだけではダメで、自分が見聞きしたことをどう考えるかです。ディッキンソンの場合「今後、アジアや中東地域で航空機のニーズが高まるだろう」と予測した。

それにもとづいての会社の立ち上げです。

音楽ビジネスと航空ビジネスに共通する成功の秘訣は「徹底的に目立つこと」。ディッキンソンはそれも考えました。これは、ディッキンソンと同じ英国人で、やはり音楽業界から航空業界へ進出したリチャード・ブランソンと同じような考え方です。ヴァージン・レコードとヴァージン・アトランティック航空を立ち上げた、あのブランソン氏です。

ブランソンも新規事業を起こす際は、戦車でタイムズスクエアに乗り込みました(!)。高層ビルから飛び降りました。やることなすこと、ド派手で奇抜。すべてが世間の注目を集めたい、ヴァージンをPRしたいというビジネス戦略です。

ビジネス上やむをえずです。仕事なんです。ブランソン本人の目立ちたい一心ではありません。BBC番組の観すぎでもありません。疑わしいですが・・・。

そうでなくてもアイアン・メイデンのワールド・ツアーは、ディッキンソン自らが特別機「Ed Force One」を操縦してくるので有名でした。Ed Force Oneはボーイング757のカスタマイズ。カスタマイズにいくらかかったのか、考える気がなくなります。

それにネーミングがもう・・・さすがBBCの国。機体も洒落てます。

ディッキンソンはそのEd Force Oneに、コンサートに必要なメンバーと機材のすべてを載せて、自分で世界中操縦して、アイアン・メイデンのリード・ボーカルをやってくれるのです。さいたまスーパーアリーナに来るときも、それで来るのです。成田空港に降りようとしたけれど、予定変更で名古屋に着陸したことがあったそうです。

なんか、普通に機長をやってくれちゃってるわけで・・・言うべき言葉もありませんが、これは宣伝費の節約になって、ビジネス上とても効果的なんだそうです。アイアン・メイデンのリード・ボーカルがふつ~に機長やってる~!というので、フライトのたび、ものすごい宣伝効果がある。

機長としてのディッキンソンを描いた「FLIGHT666」という映画があります。DVDをアマゾンで買えます。Ed Force Oneで検索すると36,900,000件出ます。ちゃんとカーディフ・アビエーションの会社PRに役立っているのです。

宣伝のためだか、自分の趣味だかわかりませんが、「機長やりましょう」で、機長できているところが凄過ぎですが・・・。

そして、もうひとつディッキンソンがビジネスで重視しているのが「人にフォーカスすること」。

「ビジネスは人々のニーズに答えることだ。それ以上でもそれ以下でもない」

マーケットは需要と供給。だから、自分のやりたいことではなく、人が自分にしてほしいことをする。そうでなければ利益が上がるわけがない。ビジネスの基本中の基本で、ドラッカーもそう書いてた気がします。アイアン・メイデンのコンサートで、ファンと間近に向き合ってきたディッキンソンの実感から来る発言かもしれません。

手を伸ばせば互いにさわれそうなくらいの至近距離で、顧客と向き合うこと。かなりいろんなことが起きる距離です。時には、客席からいきなり何かが飛んできます。あれはマジで痛いようです。

ですが、顧客との至近距離を恐れるビジネスは成長できないのです。

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