パニック障害の人に、飛行機での旅行をすすめて良いか?悪いか?

旅行に誘いたい人がパニック障害を持っていた時、声をかけていいものかどうか迷ってしまう、という話をよく聞きます。パニック障害の人には、公共の乗り物を避けた生活をしている人が多いので、この「乗り物」がネックになって、迷う人が多いのです。

パニック障害の発作は、たいてい密室や閉じ込めれた空間で起きます。

ですから生活上、主な問題となるのは「建物」と「乗り物」です。

「建物」の場合は、発作が出たら建物の外に出て休憩すれば、負担が減って発作がおさまったり、軽くなります。

しかし「乗り物」、とくにバスや電車など公共の乗り物の場合、これができません。

乗り物の中で発作が起きた場合は、建物と同じで、乗り物の外に出るだけでかなり改善するのですが、でも、自分だけの都合で乗り物を止めてくださいと言うわけにはいかないと考え、乗り物が目的地に着くまで、どんなに苦しくても、黙ってガマンしてしまうのです。

ただ、発作は乗り物に乗ったら、毎回、必ず起きるというものではありません。発作は起きるときも、起きないときもあります。

でも、もし乗り物の中で発作が起きたら、どんなにつらくても、電車などが止まるまでは、そのままガマンしなければならない。発作は起きないかもしれないが、もし起きたらとても苦しいから、それなら、最初から乗り物に乗るのをやめてしまおう。

そういう考えになってしまい、遠出や旅行を避け、行動半径を狭くしてしまうのです。

そういうことならパニック障害の人に、飛行機の旅行をすすめるなんて、とんでもない。
何も言わないでおこう、と考えがちです。一般の人が乗る乗り物で、空を飛ぶ飛行機以上に密閉された乗り物はないからです。

でも、一回だけ、飛行機で旅行に行きませんか、と声をかけてみてください。

飛行機に乗る頻度は人によって違いますが、たまにしか飛行機に乗らない人なら、もしかしたら、飛行機に乗ってみたい、と言い出すかもしれません。

このとき重要なことは、パニック障害のことを話題にしないこと。

おそらくですが、こちらから話題にしなくとも、パニック障害を持つご本人は、「飛行機に乗ってみようか、乗るとしたらどうしようか」とすでに考え始めています。

そのまま、そっとしておいてあげてください。

本当に飛行機に乗りたい、と考えたなら、こちらから何も言わなくとも、ご本人が飛行機に乗るためにはなにをすればいいか考え、自分から準備を始めます。

飛行機に乗りたい、そう、飛行機に乗ったらきっと楽しい。

もし、ご本人がそういう気持ちになれたのなら、「飛行機に乗る準備をする!」という嬉しい気持ちを、こちらからジャマすることなく、存分に楽しませてあげてください。

飛行機なんて絶対にイヤ。とご本人が思っているようなら、それ以上は強く勧めないほうがいいかもしれません。ここでしつこく、そんなこと言わずに飛行機乗りましょうよ、と言い続けると、その後、飛行機の話題そのものが嫌いになってしまう可能性があります。

言うのは「飛行機で旅行に行きませんか」だけ。

「飛行機に乗りましょうよ。パニック障害の発作が起きるといけないから、こういう準備をしましょうよ。こういう準備をすれば大丈夫だから、行きましょうよ」と、立て続けに話を持ちかけるよりは、いいはずです。

もし、「飛行機には乗りたいけど、発作が起きるのが心配だから、どうしようか」とご本人から言い出したら、その時はぜひ相談に乗ってあげてください。

まず「飛行機に乗っている時でも、いつもどおりでいいのだ」ということを伝えてください。発作が起きたときでも、これをやれば安心、これを持っていれは安心。そういったものがあるはずです。

飛行機内で発作が起きたときでも、普段通りと変わりなく、「発作が起きたときにやること」をやっていいのです。

ここでなぜか「飛行機内で発作の対応をするのは恥ずかしい」と考える人がいます。持病のある人もない人も、飛行機内で体調が急変したら、必要な対処を始めるのは当たり前のことです。

発作の対処を開始しても、誰もなんとも思わないか、せいぜい「急病かな、たいへんそうだな」と思うくらいです。親切な人なら「なにかできることありますか」って、サポートしてくれるかもしれません。

発作の対応に関しては、何も心配せず、いつもどおりにやっていいのです。

それと、かかりつけの病院に相談することをおすすめします。担当医と、飛行機に乗る時どういう準備をしていけばいいか、よく相談してください。ご本人の状況をよく知っている医師なら、素人が思いつかない注意点やアイデアを思いついてくれるかもしれません。

これはナイショの情報・・・、でも先日聞いてしまったので・・・、本来なら書いてはいけないのですが・・・ここだけの話。

お医者さんの中には「海外旅行に行くことを、誰にも言わずに海外旅行に行く」という先生がいます。お医者さんは、年中無休で昼も夜もなく、患者さんに対応するお仕事のため、たまには完全にシャットダウンする休暇が必要。

だから、誰にも言わずに海外旅行に行き、すべて忘れてリフレッシュする。

海外旅行のかの字も言わない先生が、実はその正体は海外旅行の達人だったりします。これは長年知っている先生だったので、失礼ながら驚いてしまいました。おみそれしました。

そういうわけで、あのお医者さんに飛行機の話をしても・・・というときでも、一応、飛行機で旅行に行きたいんです、気をつけることなんですかって、聞いてみてください。

すべてのお医者さんがそうだとは限りませんが、「飛行機でパニック障害の発作が心配なら、こうしたらいいよ」って、思わぬ裏ワザを教えてくれる可能性があります。

それに実は、「飛行機に乗ったらパニック障害が起きた」という人は少ないのです。

たまの飛行機だからなにか起きるかもと警戒して、あれもこれもと万全の準備をしていきますし、飛行機に乗りたい!普段行かない場所に行ってみたい!そういう楽しい気分でいっぱいで、パニック障害のことなんて忘れてた、というケースが多いのです。

あれもこれもと散々準備してはみたが、結局、飛行機では発作がおきなかった。

飛行機が大丈夫だったから、次は電車を試してみようか、久しぶりにバスに乗ってみようか、一度の飛行機がきっかけで、次々と行動半径を広げて、気がついたらパニック障害が治っていたという人もいるそうです。

医師と相談し、発作が起きたときの用意をきちんとしていけば、パニック障害の人が飛行機で旅行をすることは、なんの問題もありません。

あまりしつこくしてはいけませんが、ぜひ、声をかけてあげてください。

関連記事

ページ上部へ戻る