様々な事態を想定した訓練が可能なシュミレーター

エアバスA330とボーイングB777は、同じ双発機ではあっても、サイドスティックと操縦桿に代表されるように、装置や操作方法が大きく異なっています。

しかし、どの機種に乗務するにしても、パイロットはその飛行機の緊急操作手順を習得するための訓練を、事前に受けておく必要があります。

ですが、エンジン火災などの訓練を実機で行うことは不可能です。そこで役に立つのが、飛行機のフライトをそっくり再現することを可能としたシュミレーター(模擬飛行装置)なのです。

シュミレーターは、加減速、上昇と下降、旋回、着陸時のショック、フロントガラスから見える外の景色などの、フライト状況にあわせた動きだけではなく、エンジン音や風切り音などに至るまで、実機でのフライトを忠実に再現することが可能です。

また、滑走路の状態(積雪など)や風や視界などの天候状態についても、自由に変更、設定することができます。このシュミレーター訓練を行うことで、パイロットは緊急事態の操作手順や悪天候での離着陸、離着陸中止などを繰り返し訓練することができるのです。

また、CRMの概念が生まれたことで、LOFTという訓練があらたに追加されました。CRMとは、あらゆるリソース(情報や環境)を最大限に利用して、フライトの安全を向上させるためのソフトウェアです。LOFTは、実際の運航便をシュミレーターで再現し、模擬フライトすることで、起こる事象にクルーが対応していくという訓練です。

例えば、羽田空港を悪天候の大阪に向けて離陸したが、その後地震が発生し関東全域の空港が閉鎖、大阪の天候がさらに悪化している中で急病人が発生するというような、一刻の猶予もない状況で、クルーの役割分担、着陸空港の選定、意思決定などを行い、クルー同士、航空交通管制機関、会社無線など、あらゆるリソースを駆使して安全に着陸するためのシュミレーション訓練です。

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