航空会社のコンシェルジュとは?

コンシェルジュという言葉を聞いたことがある人も多いと思います。

コンシェルジュ、とは本来フランス語で「大きな建物や重要な建物の門番」という意味で、団地やアパート(日本でいうマンションも含みます)などの管理人もコンシェルジュといい、建物の管理などを行っています。

現在ではそこから派生して、ホテルの宿泊客のあらゆる要望や案内に対応する、総合世話係だったり、相談承り係、というような職務を担う人の職名として使われています。

ホテルでは、宿泊客の様々な相談や要望に応え、航空券や観劇のチケットを手配したり、道案内やレストランを紹介したりもします。時には人探しや物探しなども行い、究極のパーソナルサービスと言われます。

顧客一人ひとりに応じた、きめ細かなサービスが注目を集め、今ではホテルだけでなく、観光案内所や駅、百貨店、病院、など、多くの業界や企業に、コンシェルジュという制度が広がっています。

航空会社でも、このコンシェルジュ制度を取り入れているところがあります。

ただ、一般的に航空会社のコンシェルジュが担当するのは、いわゆるVIPと呼ばれる方々ばかりです。大臣クラスなどの政治家や大企業の会長・社長などの社会的に地位のある方、頻繁に搭乗しマイレージ上級会員となっている方などです。

こういったVIPを案内するのが、航空会社のコンシェルジュの役目です。絶対に粗相があってはいけないため、責任は重大。

役割としては、案内や、チェックインカウンターからラウンジ、または貴賓室へご案内し、搭乗時間になると、ラウンジまたは貴賓室から搭乗ゲートまでご案内するという内容です。

話だけ聞くと簡単なようですが、実際はとても神経を使う仕事。

例えば、一緒に空港内を歩き回るため、終始無言ではいられません。

そして気を遣って話しかけると、なかには怒り出してしまう方もいらっしゃいます。しかし、黙っていればサービス精神が無いとか、無愛想と思われることも・・・。

そのお客様がどのような人かを短時間で判断することは難しいですが、空気が読めない人には絶対に勤まらない仕事です。

この、至れり尽くせりのサービスに対し、そのお客様は気分良く過ごしてくださいます。華やかで楽しいこともたくさんあると思いますが、裏ではとても苦労のある仕事といえるでしょう。

コンシェルジュと一言で言っても、日系の大手航空会社と、特に外資系など、それ以外の航空会社におけるコンシェルジュとでは、担当するお客様にかなりの違いがあります。

たとえば、ある日系航空会社では、マイレージの最上級の会員の方はコンシェルジュが担当し、搭乗ゲートまで案内しますが、そうでない会員の方はコンシェルジュは担当しません。

ところが一部の外資系航空会社では、日系航空会社が担当しないマイレージ会員であっても、コンシェルジュが担当することがあり、担当させていただく条件やサービス内容などに、各社で大きな差があります。

では、コンシェルジュサービスとは、具体的にどういうサービスなのでしょうか。2010年にユナイテッド航空と対等合併したコンチネンタル航空でみてみたいと思います。

まず、なぜここでコンチネンタル航空を例にとったのかというと、日系ではANAが、コンシェルジュサービスを行っていたり、他の航空会社でも上級クラスを利用する場合、こちらから依頼すれば空港での搭乗手続などに手を貸してくれたりと、当サービスを提供しているエアラインは少なくありません。

しかしコンチネンタル航空では、乗客一人ずつに必ず専任のコンシェルジュが付き、空の旅を全てサポートしてくれます。そのおかげで、荷物検査からセキュリティ・チェック、そして出国手続きまでがスムーズに行えます。

コンチネンタル航空がこのビジネスファーストサービスを取り入れたのは、20年も前の1993年でした。従来の3クラス制を2クラス制に変え、東京-ホノルル線、グアム~ホノルル線に初めて導入しました。

その後、多くの利用者からの要望により、長距離国際線路線を含めた他の路線にも拡大しています。

搭乗手続きでは、順番待ちをしている人たちを追い越して、用意された専用のエリートアクセス・カウンターで手続きをすることが出来、長い列に並ぶことなく、チェックインすることができます。

その後、ラウンジまで案内してくれ、時間になるとラウンジへ迎えに来てくれて機内まで同行してくれます。

コンチネンタル航空では、世界の主要26空港でこのコンシェルジュ・サービスを担当するプロのスタッフたちが待機しています。

そして、チェックインのみならず、離陸前の機内では渡航先での心配ごとや到着地での要望をきき、到着空港に現地スタッフの出迎えを依頼したり、空港内の案内やホテルへの車の手配、リクエストによってはガイドや通訳などの要望にも対応します。

このようなサービスを提供できるようになったのは、一つには、自動チェックイン機の利用率が高まることで、それまで手続きの場で利用者にかかっていたスタッフたちにも余力が出来、他のサービスを提供できる体制を整えることができるようになったためでしょう。

しかし、誰でもがこのコンシェルジュを担当できるわけではなく、例えばANAではグレード1~6まである社内資格のうち、グレード5以上の社員のみが、指名されます。

それだけ大変な役割ではありますが、各社それぞれ独自のワンランク上のサービスを目指しています。

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