日本の航空会社が満足度1位になれる日は来るのか?

経済雑誌『日経ビジネス』は、2014年、2年ぶりとなる「エグゼクティブが選ぶエアライン満足度ランキング」を発表しました。これは『日経ビジネス』のwebサイト「日経ビジネスオンライン」への登録会員に対してメールで行った調査で、過去3年以内に利用した航空会社の

・サービス
・座席
・安全性・正確性
・航路ネットワークの広さ
・コストパフォーマンス

などについて採点されたものを平均化し、割り出したものです。

 順位は以下の通り

1位 シンガポール航空     (シンガポール)
2位 ANA全日本空輸       (日本)
3位 JAL日本航空        (日本)
4位 ターキッシュエアラインズ (トルコ)
5位 エミレーツ航空      (アラブ首長国連邦)
6位 ルフトハンザ航空     (ドイツ)
7位 タイ国際航空       (タイ)
8位 キャセイ・パシフィック航空(香港)
9位 フィンランド航空     (フィンランド)
10位 KLMオランダ航空     (オランダ)

○不動の1位シンガポール航空

シンガポール航空は前回調査でも1位を獲得しています。

サービス部門で1位を獲得したシンガポール航空のサービスポリシーは「ノーと言わない接客」

それを象徴するような実話があります。

シンガポール航空のチェックインカウンターに現れた日本人カップル。女性のほうのパスポートが有効期限まで6カ月を切っていました。

このカップルの目的地はシンガポール経由インドネシア。彼らはそこで結婚式を行うことになっていました。インドネシアへの入国にはビザが必要ですが、観光目的であれば事前に申請しなくても現地に到着した時点でビザを取得できます。しかし、それにはパスポートの有効期限が6カ月以上必要という条件があるのです。

女性だけ置いていくということもできず、男性はどうにかならないか食い下がります。ことはスタッフの判断だけではどうにもならないケース。しかし、スタッフは会社のサービスポリシーに随い「ノー」とは言いませんでした。

スタッフは在日インドネシア大使館、インドネシアの入国管理局など関係各所に連絡をとり、身分を保証できればという条件のもと、例外的に入国を認めてもらえるところまでこぎつけ、このお騒がせなカップルは無事挙式を行うことができました。

このような迷惑な乗客に対しても「ノー」と言わず、「顧客の希望に寄り添い、最大限努力をする」というシンガポール航空の徹底したサービス意識がマニュアルだけでは解決できない問題を見事に解決してみせた出来事でした。

このようなケースは稀にしても、シンガポール航空は通常のサービスにも定評があります。運用するエアバス380にはファーストクラスのさらに上位となる「スイート」を設置。ベッドまで設えられた個室には23インチのワイドスクリーンがあり、機内食は60種類のメニューから選べる特別製。

だからといってエコノミークラスの質が悪いかというとそのようななことはなく、エコノミークラスも広めに取られた座席空間と、人間工学を取り入れたヘッドレスト、大きめで操作性がよい機内エンターテインメントシステムなどで快適に過ごせます。

シンガポール航空は、今回の調査のみならずイギリスの調査会社・スカイトラックスの格付けでも「五つ星」を獲得しています。この牙城はなかなか崩せそうにありません。

○日本の航空会社の巻き返し

さて、2位と3位には日本の航空会社が入りましたが、前回調査では2社とも10位以内には入っていたものの、3位圏内には入っていませんでした。

その後サービス面の改善を行ってきたのが全日空です。全日空は2012年に「五つ星」航空会社を目指すことを宣言。そのためのプロジェクトも立ち上げました。

同社がそれまで行ってきたのはいかに付加価値を増やしていくかというもの。しかし、新規プロジェクトではそうではなく、電話がつながりにくいとか、座席が汚れているとか、ラウンジがいつも混んでいるといった顧客の不満を見つめ直し、問題ごとに担当者を設けて解決していくという方針に切り替えました。

全日空が前回4位から2位へと上昇したのは、こうした会社側から「押し付ける」方針から、顧客の側に立った方針が着実に効果を表している証左となるでしょう。

一方のJALは、経営破綻後に会長に就任した稲森和夫氏の方針により、一定部署のみならず部署を超えた社員間の交流が義務付けられました。これによって生まれたのが会社内での強い連帯感。その連帯感によって旅客機を運航するそれぞれのスタッフの連携がスムーズになり、またその連携によって運行の定時性が高まるというプラスのスパイラルが生まれました。

その結果、JALは2012年、2013年とアメリカの調査会社フライトスタッツから定時到着率世界一の表彰を連続で受けています。また、破綻からわずか2年で営業利益をV字回復させています。

JALも前回6位から3位へと上昇しましたが、全日空と差が出たのは経営破綻後に航路を縮小したために「航路ネットワークの広さ」でポイントが低かったためと見られます。

○注目されるターキッシュエアラインズ

続いて4位になったのがトルコのターキッシュエアラインズ。ターキッシュエアラインズは2年前の前回調査では圏外だったところからの大躍進となります。

日本への定期便が1日3便のターキッシュエアラインズが、主に日本人が選んだランキングで4位に入った理由として大きいのは「コストパフォーマンス」部門で1位となったことです。

ターキッシュエアラインズの長距離便にはファーストクラスがありません。しかしその分、ビジネスクラスとプレミアムエコノミークラスには専任の「フライングシェフ」が調理を行うという手厚いサービスが付きます。

また、機内には無料のwi-fiサービスがあり、座席モニターではBSのテレビ放送も視聴できます。

さらにはイスタンブールでトランジットの客にはイスタンブール市内のホテルや観光ツアーなどを座席クラスを問わずに無料で提供しています。つまり、他の航空会社では値段が高いクラスの客でなければ受けられなかったようなサービスを受けられることが「コストパフォーマンス」の高さとして評価されたわけです。

1位に君臨するシンガポール航空、そこへ下から急激に追い上げをかけてきているターキッシュエアラインズ。両者に挟撃される日本の航空会社はこれから更なる厳しい競争にさらされそうです。

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