積乱雲は旅客機にとって上空の超危険ゾーン!?

空港は曇り空で雨がシトシト降っていたのに、離陸し、分厚い雲を抜け出したら、その上はみごとな快晴!客室の窓からも真っ青な空がどこまでもつづいて見える・・・こんなときは、空の天気そのままに晴れ々とした気持ちになるものです。小型飛行機の場合、有視界飛行なので、どんな小さな雲でも避けて通らなければなりませんが、大型ジェット旅客機ならその心配もありません。

とはいえ、「積乱雲」(入道雲)だけは別です。積乱雲のなかは気流が乱れており、雷や突風を引き起こしやすいことが知られています。もし、積乱雲のなかに突っこんだりすれば、旅客機の姿勢をコントロールするのが困難になるだけでなく、機体が故障することもありえます。それどころか、積乱雲の近くを通っただけで、旅客機に落雷することもあるのです。

日中や満月の夜であれば、パイロットの目視で積乱雲を避けることができますが、新月の夜ともなると、目で確認することはできません。そこで、旅客機の機首についている小型の気象レーダーアンテナで機体前方の気象情報をいち早くキャッチし、コックピット内のレーダー画面に映し出しながら、監視をつづけることになります。

ふつうの積乱雲は直径20kmくらいの大きさがありますが、場合によってはいくつかの積乱雲が直径100~200kmにもおよぶ巨大な群れとなったり、発達中のものでは、その高さが1万2000mにもなることもあります。特に、東南アジアやオセアニアの付近では、航空路の途中に積乱雲がよく現われるので、この方面の路線では注意が必要です。

積乱雲は大きさにかかわらず、避けるのが原則です。雲を迂回するために機首を頻繁に方向転換しなければならず、揺れが起こりやすくなるので、乗客にシートベルト着用のサインを出すことになっています。複数の積乱雲を回避する飛行では、機体の向きが左右によく変わるので、客室にいてもその状況がわかるはずです。いかに航空技術が発達した現代においても、旅客機が積乱雲に真っ向から太刀打ちすることはできません。積乱雲を見つけたパイロットは、ただ逃げるしかないのです。

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