『人』を見なければ航空機の人為的事故は減らせない

2015年の3月に発生したドイツのLCC、ジャーマンウィングス9525便墜落事故は、精神的に問題があった副操縦士による人為的なものでした。副操縦士は機長が席を立った隙に操縦室を占拠し、飛行機を急降下させたということが、回収されたボイスレコーダーの解析により判明しています。

なぜ副操縦士が操縦室を占拠できたのか、これには2つの要因が関わっています。

まず1つ目は、911同時多発テロ以降、操縦室に入るには暗証番号を打ち込むようになり、さらに操縦席で暗証番号を打ち込んでも施錠状態を維持できるようになっていたことです。副操縦士は施錠を維持する操作を加えたと見られ、機長が暗証番号を打ち込んでも扉を開くことができませんでした。

もう1つは、オートパイロットの発達による少人数化です。オートパイロットやレーダーシステムが発達する以前は、飛行機は機長・副操縦士の2名に加え、エンジンを含めた機内各システムを操作し、各種計器をチェックするフライトエンジニアと、現在位置や航路を測定し、航法データの計算を行う航空士の4名で操縦をしていました。

ところがレーダーシステムが発達し、それとリンクしたオートパイロットの機能が上がった結果、航空機関士と航空士の必要がなくなり、パイロット2名だけで操縦ができるようになったため、1人を排除するだけで操縦席を占拠できたのです。

特に操縦室への入室手順を厳密にしたことはテロリスト対策としては有効かもしれませんが、関係者に悪意のある者が存在したときには何の意味もなさないどころか、諸刃の刃であることが露呈してしまいました。

副操縦士は精神医から搭乗禁止の診断を受けていながらもそれを隠し、交際相手に対しては一般航空会社よりも長い乗務時間を要求されながらも、報酬が少ないという待遇に不満をもらしていたことも判明しています。さらには、副操縦士の精神医の受診は個人的なものであり、会社自体は精神検査を行っていませんでした。

 今後こうした事故が起こらないようにするには、操縦のロボット化、自動操縦化が有効であるなどという言う人もいるようですが、そうではなく、むしろ武田信玄公が唱えた「人は石垣、人は城」という、「人を大切にする」経営に立ち返ることこそが、このような事故を減らすことになるのではないかと思います。

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