機内で使う「水」の管理方法と給水の仕組み

ウィスキーの水割りを飲み、トイレに行き、さらにはお風呂までは無理にしても、とにかくジャンボの機内であっても、「水との接し方」は地上とほぼ変わりません。

この当然のようで便利な「ウォー夕ーサービス」は、搭載された夕ンクに貯められた水で行なわれています。機体の種類によっても異なりますが、飛行機には機体の中央部、もしくは客室の後部床下に水を貯蔵するタンクが搭載されています。その容量は、国内線で約400リットル、国際線では約1200リットルにもなります。

つまり国際線では、機体重量のうち1.2トンが水というわけです。この水は前述した用途のほか、機内に数力所ある「飲料水」という表示のある蛇口から出る飲み水や、ギャレーなど機内で用いる水のほぼすべてをまかなっています。

ちなみにトイレで1回に使用する水の量は200CCと、わずか牛乳瓶1本分です。これは、機内外の気圧差を利用した「真空吸引式」という方式が採用されたためです。

さて、蛇口をひねれば水が出るのは当たり前。では、そのしくみはというと、地上では水道局側であらかじめ貯水場のタンクに水圧をかけることで対応しているのですが、同様にジャンボの機内でも、タンク内に圧縮空気を送りこむことで客室より低い位置にあるタンクの水を押し出すようにしています。

この圧縮空気は、エンジンの作動時はそこからの風力を利用し、地上などでエンジンが停止しているときは、専用のコンプレッサー(空気圧縮機)を使って作り出されます。機内への水の供給には、専用のウォーターカー(水供給車)というものがあり、夜間や、フライト前の朝などに、駐機場で給水が行なわれています。その際、ラバトリーカー(汚水車)で、トイレの汚水を処理する作業もあわせて行なうことが多いようです。

トイレの水は汚物と一緒に、機内の汚水タンクに貯められ、空港にて処理されます。では、それ以外の水、たとえば洗面台やギャレーで使った水はどうなるのかというと、こうした水は、機体の下に取りつけられたドレイン・マスト(排水塔)から機外に放出されます。

ただし、時速1000キロ近いスピードで飛ぶジャンボから放出された水分は、瞬時に空中に分散してしまうので、間違っても雨となって地上まで迪り着くことはありません。ちなみに、地上で作業員が作業している際、突然ドレイン・マストから水が出てきて驚くことがあります。このため、「ドレイン・マストには近づかない」というのが整備士や作業員の鉄則になっています。

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