遮断機の先には電車ならぬ旅客機が・・・

テレビや新聞などのメディアでは、空港での航空機事故などが報道されますが、空港での事故は航空機に由来するものだけではありません。時に、「珍事件」なる事故も発生します。

2004年、羽田空港に乗用車が侵入し、滑走路を暴走するという事件がありました。

他にも羽田空港では2005年に、ちょっとした騒ぎがありました。

空港南側の第4ゲートから不審な人物が侵入し、エンジンテスト場付近で航空会社の男性社員に取り押さえられたのです。東京空港署員の調査によると、老人は「多摩川土手を自転車で帰宅中に道に迷い、ゲートが開いていたので入った」と供述したそうです。車の暴走に比べれば、道に迷って自転車で、というのは些細な出来事ですが、出発を予定していたいくつかの便に10~30分程の遅れが出ました。

日本では羽田空港のほかにも2006年に、北海道帯広市の、とかち帯広空港で、貨物ターミナルの貨物ヤードから不審な乗用車が滑走路に侵入し、約2500mの滑走路を往復するなどして走り回り、同空港関係者に取り押さえられるという事件が起きました。この事件の影響で滑走路は一時閉鎖され、事件直後に到着予定だったJALの名古屋便に遅れが生じました。

人による侵入は意図的なものもありますが、人間の作ったルールとは無関係の動物による珍事件もあります。例えば先の羽田空港では、2008年に犬が滑走路に侵入し、空港職員20人で約3時間半かけて捕獲した、という事件がありました。日本でもこんなにたくさんの珍事件があることをみると、世界に目を向ければまだまだたくさんの事件があるのではないでしょうか。

ニューヨークのJ・F・ケネディ空港で2009年、滑走路に合計78匹の亀が迷い込むという珍事件がありました。関係者たちが空港から離れた場所に移動させるのに35分かかり、旅客機の運航に1時間半の遅れが生じたそうです。

また、珍事件という表現は当てはまらないかもしれませんが、最近ではiOS 6の地図アプリが、英国のロンドンでなく、カナダのオンタリオ州にあるロンドンに誘導した事件がありました。

この地図アプリに関する同様の事件として、2013年9月に、アラスカの国際空港で、アップルの地図アプリに従った運転者が滑走路に進入するという事件が連続して発生したのです。

Alaska Dispatch紙が掲載した記事によると、アップルの地図アプリは、パイロットが滑走路にアクセスする東ランプ経由で誘導路Bに入るよう指示していたそうです。そこからはターミナルが滑走路のすぐ向こう側に見えるので、ドライバーは通過したすべての道路標識を無視し、目に見える手がかりに従い、真っ直ぐターミナルに向かったそうです。

この出来事は、まず9月6日に起こり、さらに9月20日にもう一度発生しています。Alaska Dispatch紙によると、最初の事件のあと、アップル社はこの問題に対処するとしたようですが、その後もハイヤーの運転手が、空港警備と警察による突然の包囲に驚くという事件が発生しました。現在は、問題が解決されるまで、一時的にバリケードが設置されているそうです。

このような珍事件は世界各国の空港で起きているようですが、何のおとがめもなく、車や歩行者などが滑走路を通っている空港もあります。

地中海に面し、北側は陸続きにスペインと接しているイベリア半島の南東端、ジブラルタル海峡の北側に位置するジブラルタルにある空港です。

イギリスの海外領土のジブラルタルという国には、めずらしいタイプの滑走路をもつ空港で、滑走路が一般道路と交差しており、飛行機の離着陸時には踏切が降りて道路が封鎖され、車は一時停止となります。そして離着陸後はまた車両の通行が可能になるという仕組みになっているそうです。しかも、通行できるのは車両のみならず、人や自転車も通行できるそうです。

この空港は、パイロットが選ぶ危険な空港として、ヨーロッパの中で1位に選ばれています。これは、ジブラルタルの岩山ザ・ロックがすぐそばにあり、東側からの進入はザ・ロックの崖の横にある滑走路への進入が必要であるためだそうです。

この滑走路は国境と平行に走行しており、しかも用地が限られているので、航空機の誘導路は東側しかないのです。そして航空機は、空港の滑走路西側で旋回して滑走路を戻ってこなくてはならず、その間、他の航空機の離発着は待機させられます。しかも、東・西側ともに滑走路の計器進入装置は未整備のため、目視飛行での着陸をしなければなりません。

このように、この空港はパイロットが着陸を避けたいと思う空港であるとともに、あまりにも狭いので、滑走路を一般道路が横切ることになりました。当然、飛行機が優先ということで、道路は通行止めされ、離陸待ちになります。もちろん、信号は赤で、その逆に、軍用機といった飛行機が待たされていることもあります。

町の中心に向かう道路が飛行機の滑走路を横断するという、他ではあまり見られない変わった造りになっていますが、この空港はそれほど交通量が多くはなく、イギリスとの間で週30便程度が行き交っているだけのようです。

ただ、このような問題を解決するため、立体交差のための新設道路とトンネルの建設を行っており、当初は2009年完成予定でした。しかし、工事遅延のため2010年または2011年を完成予定としていましたが、それも再延期され、2013年初めの時点でも、まだ完成していなかったようです。

完成されれば、滑走路と一般道路の交差という、他ではみられない光景を目にすることがなくなるかもしれません。

関連記事

ページ上部へ戻る