航空機から超小型人工衛星の打ち上げが可能に?

人工衛星という言葉をよく耳にしますが、何に使われているのか実はあまり知らなかったりしませんか?

軍事、通信、地球観測、航行などの目的から、気象や画像サービスなど生活に必要なものまで、人工衛星を活用していることが多いようです。

わたしたちの生活にとって身近なため無くなると不便なものですが、現状は人工衛星を打ち上げることに大変なコストと労力を要しているのです。他のロケットに相乗りして打ち上げることが最もコストメリットがあるようですが、それでも打ち上げの費用だけで2億円もかかります。

更には、相乗りである以上は打ち上げのスケジュールも柔軟に決めることもできず、その他にも打ち上げ場所、相乗りする衛星の重量、軌道上に投入するタイミングなど調整すべき事項が多々あり、打ち上げまでに短くても数ヶ月、長ければ数年をかけて進めることになってしまうのが現状のようです。

そんな中、100kg以下という超小型人工衛星が世界的に注目を集めています。

東大発のベンチャー企業であるアクセルスペース社が2013年に打ち上げた地球観測衛星で、従来の小型衛星と比べて開発コストが大幅に安いのが特徴です。

Google社も超小型人工衛星を使った画像サービスを手掛けるSkybox Imaging社を2014年に買収し、従来の画像サービスに加えてインターネット網の構築や災害支援を実施していくと表明しています。

しかしながら、小型で開発コストの安い人工衛星ができても、前述のとおり打ち上げにコスト等がかかっては意味がありません。

これをクリアするために、アメリカ国防高等研究計画局DARPAが、航空機から人工衛星を低高度周回軌道に打ち上げるALASA計画(Airborne Launch Assist Space Access)を進めています。

ジェット戦闘機を活用し、機体下部に人工衛星を搭載したポッドを取り付け、高度約12,000メートルまで上昇したところでポッドを切り離す、ポッドは4つのメインエンジンを噴射し、低高度周回軌道まで上昇して人工衛星を放出するという方式をとるそうです。

100ポンド(約45kg)の超小型人工衛星を、1回あたり100万ドル以下のコストで、24時間以内に打ち上げることが目標とされています。

ALASA計画ではフェーズ1(実現可能性の高いシステムのデザイン)を既に終え、フェーズ2の軌道への衛星投入テストの段階に進んでいます。

フェーズ2では12回のテストが行われる予定となっていて、その事業としてボーイングが選定されていて、ポッドのモノプロペラントエンジン技術の実現が待たれているところです。

この技術により、燃料と酸化剤を単一の液体にすることで従来の方式よりもエンジンの構造が簡素化され、製造コストを下げることが可能になります。

DARPAは2015年後半にはALASAのデモンストレーションを行う予定としており、その後も計画が順調にいけば2016年には軌道投入テストが行われる見込みとなっています。

このALASAの技術は最終的には民間企業でも使用可能としていく予定とされているため、民間による人工衛星ビジネスが加速し、私たちの生活の質もより向上することになるかもしれません。

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