アメリカの航空機リース会社ALCがエアバスに大口発注

航空会社が持っている飛行機は、みんなエアバスやボーイングといった航空機会社から買い取った自社保有機だと思っている人は意外と多いようです。しかし、旅客ジェット機というのはとても高額なものなので、必要な機材を全て買い取っていてはお金が持ちません。

必要だけれど買うだけの予算がないものはどうするか?借りればいいのです。例えば日本のメジャー航空会社でも、JALは運用している224機中39機がリース(webサイトで公表されている2015年3月時点での数字)、ANAは231機中52機がリース(アニュアルレポート2014年3月期の数字)です。

※アニュアルレポート・・・企業の財務内容を盛り込んだ、年次事業報告書

そこで現在世界的に成長しているのが「航空機リース事業」です。日本にも三井住友銀行と住友商事が運営する「SMBCアビエーションキャピタル」、三菱UFJ銀行が運営する「三菱UFJリース」などの航空機リース会社があります。

航空機リース会社の存在は、航空機会社にとっても大口顧客として重要な存在です。特に、新鋭機を建造するときにローンチカスタマー、つまり、製造前の飛行機を採算がとれるレベルでの発注をしてくれるリース会社は特にありがたいものでしょう。

2015年3月、アメリカの新興航空機リース会社・ALC(エア・リース・コーポレーション)は、エアバスに対してA330-900neo/25機とA321LR/30機、計55機の発注を行いました。

A330-900neoは、エアバスの中短距離用ワイドボディ機A330の最新機です。旅客機には、客席の中央に一本通路があるタイプと、中央と窓側の座席の間に二本の通路があるタイプがありますが、通路が二本あるタイプをワイドボディ機といいます。

A330-900neoにはロールスロイス社製新型エンジンが搭載され、燃料消費量が14%も減らせるとのこと。マレーシアのLCCエアアジアの長距離部門であるエアアジアXが、いち早く発注したことでも知られています。

一方A321LRは、パイロットの操作支援システムであるフライ・バイ・ワイヤのデジタル版を搭載した初めての旅客機、A320の胴体を長くしたA321neoの航続距離を伸ばしたタイプで、主にアジアや欧州の中距離路線で多く使われるボーイング757の対抗機として開発されました。

今回の55機の発注で、ALCのエアバスへの発注数は258機にもなります。A380の不振により苦境にあえぐエアバスにとっては、大口発注主のエミレーツ航空と並んでまったく頭が上がらない取引先だと言えそうです。

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