東レにビッグビジネスをもたらしたのは赤字部門!?

女子バレーボールファンにとっては「東レアローズ」といえば木村沙織選手が所属するチームとして印象深いものがあるのではないでしょうか?その活動を支える東レという企業について、名前は知っていても何の会社か知っているという人はあまり多くないかもしれません。

東レはもともとは「東洋レーヨン」という、世界初の化学繊維であるレーヨンの製造会社として大正時代に創業した老舗企業。戦後にはナイロンの製造によって業績を伸ばしました。

公式サイトによると、現在の東レは各種化学を用いて繊維事業、ケミカル事業の他、通信や炭素繊維、医療などに関連した事業を行う「総合科学企業集団」とのことです。

ユニクロの超ヒット商品「ヒートテック」も、実は東レがユニクロと共同開発した特殊な繊維が用いられています。

その東レが、アメリカの航空機メーカー・ボーイング社から大口の受注をしたことで注目されています。繊維、あるいは化学の会社と航空機会社、一見接点がないような両者ですが、結びつけたのは東レの事業の一つである炭素繊維でした。

炭素繊維について、これも東レの公式サイトを参照すると「炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維あるいはピッチ繊維といった有機繊維を不活性雰囲気中で蒸し焼きにし、炭素以外の元素を脱離させて作ります」(東レ炭素繊維事業公式サイトの「そもそも炭素繊維って?」から引用)とあります。

ポリアクリロニトリル繊維は合成アクリル繊維、ピッチ繊維は樹脂繊維のようですが、これを木炭を作るのと同じように炭にしたのが炭素繊維で、つまり炭素から作った繊維ではなく繊維を炭素にしたものといったほうが正しいかもしれません。

炭素繊維の特徴は軽くて丈夫なこと。なんと、鉄と比べて重さは25%程度なのにもかかわらず、強度は10倍もあるそうです。その特徴が航空機の素材として注目され、東レは現在既にボーイング787の主翼の素材として、ボーイング社に炭素繊維を納入していますが、それに加え、ボーイング社の次世代大型機の主翼にも炭素繊維を提供するという契約を2014年末に交わしています。

東レは2020年から始まる次世代機への炭素繊維供給に向け、サウスカロライナ州に160万平方メートル(東京ドーム約34個分)もの土地を取得し、炭素繊維工場を建設するとともに、アメリカでの事業拡大のみならず、メキシコやブラジルへも炭素繊維を供給する拠点にする予定です。

今でこそ東レにビッグビジネスをもたらした炭素繊維ですが、実用化するまでには数十年の研究を要し、実用化、そして航空機などの素材として採用されるまではひたすら赤字が続く部門でした。

ボーイング社との契約は東レに不利なものではないかと心配する向きもあるとはいえ、赤字でも研究を続けた東レの覚悟が今日の成功をもたらしたと言えるようです。

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