空中待機する場合の待機場所と待機中の注意点

◆空中待機する場合の待機場所と待機中の注意点

空港が激しい雷雨などにより離発着ができない状況になると、出発機はゲートや誘導路上に呈して雷雲の通過を待てばよいのですが、到着機は空中に停止して待つことはできないため、飛び続けながら空港の再開を待つ空中待機という方法がとられます。これは、飛行機が前に進むためには飛行機を支える揚力を得るため常に進んでいなければならないからです。

空中待機のための場所(空域)はどの空港にも設定されていますが、着陸のために進入を開始する前に空中待機する場所と、着陸を断念して上昇した後に空中待機する場所があり、同じ場所でも高度差により、たくさんの飛行機が待機できるようになっています。

また、天候回復待ち以外にも空中待機する場合があります。例えば、飛行機が滑走路上で鳥と衝突した場合には、滑走路の点検のために滑走路が閉鎖されますので滑走路閉鎖解除待ちのために空中待機しますし、緊急着陸する飛行機を優先的に着陸させるために他のすべての飛行機が空中待機することもあります。

空中待機する時に大切なことは、待っている間に消費する燃料をいかに少なくするかということ。航続率のように飛ぶことができる距離(航続距離)が問題となるのではなく、空中待機の場合には飛ぶことができる時間(滞空時間または航続時間)が問題となるため、燃料消費が少なくて安定して待機できる速度が設定されています。

◆向かい風の中を滑走路に向かって最短距離で着陸!

巡航高度から降下を開始する前に、目的地空港の最新の天候を入手します。それは、現在使用されている滑走路を知るためであり、着陸できるぎりぎりの天候の場合だけではなく、たとえ良い天気でも必ず風向きとその強さをチェックしています。

離陸の時と同じように着陸の場合も風に向かって着陸しますので、風向きにより使用する滑走路が変わります。これにより標準的な到着ルートも変わり、高度や速度を処理する方法が大きく違ってくるため、パイロットは使用されている滑走路を知ることが重要になっているのです。

たとえば、羽田空港で南寄りの風が吹いている場合には南に向かって着陸するので、使用滑走路は16、22、23になりますが、北寄りの風が吹いている場合には北に向かっての着陸となり、着陸までのルートは大きく違ってきます。

なお、風に向かって着陸する理由は、着陸に必要な距離が短くて済むからです。たとえば、時速300kmで着陸するとき向かい風が25km(風速7m)あるとすると、実質的には時速275kmの速度で着陸することになりますが、これが追い風だと時速325kmの速度で着陸することになるため、着陸に必要な距離は長くなってしまいます。

このため、風速7~8m程度の追い風でも着陸禁止となっており、その場合は、向かい風となる反対側の滑走路から着陸することになります。

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