「世界一、困難な空港」から、「世界一、高価な空港」へ・・・
香港の空港といえば、「世界一着陸が難しい空港」啓徳国際空港で知られていました。ILS(計器着陸装置)が使えず、街中のビルを目印に進入するという、パイロットにとって高度な技術を要求される空港でした。
旅客機が機体全体を大きく傾け、無数の高層ビルが立ち並ぶ市街の頭上をかすめるようにして、スリリングで美しい着陸を披露したものです。
ただ、パイロットは緊張することこの上なく、乗っている乗客のほうも、怖くてたまらないのですが・・・。
1998年、それに代わって、香港国際空港が登場しました。
年間旅客数は500万人を超え、シンガポールのチャンギ国際空港やソウルの仁川国際空港と肩を並べる、アジア有数のハブ空港です。
また、ギネスブック認定の「最も高価な空港」でもあります。
建設期間は6年。建設費用は実に200億ドル。空港の建設費用としても高額です。
まず、島を削った土砂で、別の島と岩礁との間を埋めて、新しい島を作りました。そうしてできた島に、3800メートルの2本の平行滑走路や、空港ターミナルを建設したのが、香港国際空港なのです。
空港と香港市内を結ぶ高速鉄道も必要でした。
その上、建設工事が予定より一年遅れとなり、建設費用は増すばかり。そうして香港国際空港は、世界一高価な空港となったのです。