飛行機の中での飲酒と飲酒が原因で引き起こされた事件の顛末とは

飛行機は液体の持ち込みが制限されていて、一つの容器につき100mlを超えてはいけないことになっています。

というと、はたと困ってしまう人がいるかもしれません。

「え?じゃあ免税店でお酒買っても持ち込めないの?」

ご安心ください、国内線国際線に限らず、保安検査を受けた後に購入したものは液体であっても機内に持ち込み可能。また、空港外の免税店などで購入したものは、保安検査場で密封状態であることを確認した上、レシートを提示すれば持ち込めます。

ただし、お酒の場合アルコール度数24%以上だと一人につき5リットル以内という制限がつきます。また、アルコール度数70%以上のものは一切持ち込みできませんし、預け入れ荷物に入れることもできません。アルコール度数が70%を超えるお酒というのはなかなかないと思いますが、ロシアのウオッカには70%を軽く超えるものもあるので注意が必要。

持ち込んだ酒類についてはANAやJALの場合開けて飲むのは問題ないようです。LCCは各社で違いがあって、飲めない場合もあります。LCCを利用する場合はその点を確認したほうがいいでしょう。といっても、一般航空会社であればお酒は提供されるので、わざわざ買ってきたものを機内で開ける意味はわかりませんけれどね。

フライト中の飛行機は酸素が少ない

機内での飲酒は、酔っ払って騒いだりせず節度を持って楽しむのであれば自由だと思います。ただ、医学的にみればあまり手放しで飲酒を肯定するわけにもいかないようです。

というのも、フライト中の機内は地上とはいろいろ環境条件が違うからです。

旅客機は通常機体の強度を保つためにキャビン内を0.8気圧、湿度を10%ほどに保っています。現在のところ、ボーイング787シリーズのみが、多少改善して0.9気圧、湿度20%ほどになっています。

気圧が低い環境というのは、酸素量も減っていることをご存知でしょうか?台風が来ると頭痛がしたり、体がだるくなるという人がいますが、これも低気圧による酸素量の低下が原因の一つだと考えられています。

空気中に酸素が少ないということは、そこで呼吸している人の体内の酸素量も減るということ。そこにアルコールが入ると血液中のアルコール濃度が通常より高くなりやすいので、酔いが回りやすいのです。

また、肝臓がアルコールを分解するためにも酸素を必要とします。飲酒するとそれを分解するためにたくさんの酸素を消費するため、よけいに血液中の酸素は不足していってしまいます。飲酒量が多くなれば肝臓が必要とする酸素の量も増え、酸素の量が少ない中で必要な酸素が吸収できなければ、アルコール分解機能も徐々に低下していってしまいます。

発泡系は特に注意

飛行機に持ち込んだお菓子の袋などがぱんぱんに膨らんでいるのを見たことがある人もいると思います。これも機内の気圧が低いために起きたこと。気圧が低いということは、つまり空気による圧力が下がるということですね。押さえつける力が弱くなると、気体は膨張します。キャビンの気圧を低くしているのもこの性質を利用し、内側からふくらんだ空気で外からの圧力に対抗するため。

そのため、ビールや発泡ワインなど飲むと、胃の中に入った炭酸ガスも膨らんで胃部膨満感などが起きます。ゲップが増える程度ならまだマシですが、そのために気分が悪くなることも。発泡系のお酒は好きでも避けたほうがよさそうです。

ちなみに、よく炭酸水を飲むと炭酸ガスが血管に入って、血管を押し広げるために血流がよくなるなどという疑似科学的な健康法を聞くことがありますが、炭酸ガスが気体のまま吸収されるということはありえず、液体に溶けた状態で吸収されたとしても不必要な分は呼吸によって排出されるため「血管に入った炭酸ガスが膨張する」ということはありえませんからその点は安心してください。

湿度の低さでついつい・・・

機内の湿度は10%~20%と低めに設定されているとはいえ、温度も汗をかくほどではないのでその環境によって脱水症状が起こるということはまずありません。ただ、人によっては喉が渇きやすくはなるようです。特に無意識に口呼吸をしてしまうような人は口の中が乾きやすくなるので、体内の水分が不足していなくてもついつい飲み物を欲してしまいます。

そこで、ノンアルコール飲料を飲むのは問題ありませんが、水代わりにとビールなどをがぶ飲みしてしまうと、上記の理由から酔いが回りやすくなります。アルコールには利尿作用があるといってもビールは90%以上が水分なので、ビールを飲み過ぎてトイレが近くなったとしても、それが原因で脱水症状を引き起こすということはまず考えられません。しかし、酔いが回った状態でトイレに行く回数が増えるのは、足元が安定しているとは限らない機内ではリスクが高くなります。

口が乾いた、喉が渇いたというときは、アルコールではなく水をもらって飲むようにしましょう。

酔いすぎるとこうなる

さて、ここまでは機内で飲むと酔いやすいので要注意ということを書いてきましたが、では酔いすぎて問題を起こしたらどうなるでしょうか?

2014年、日本からハワイに向かうデルタ航空の機内で酔っぱらい、客室乗務員に暴行しようとした日本人の男が逮捕されるという事件が起こりました。禁錮3ヶ月の実刑判決が出たということですが、アメリカの法律では最高で懲役20年の求刑をされる可能性もあったとか。

この男、新婚旅行に向かう途中で逮捕され、土下座して謝ったそうですが、そんな日本ならではの「譲歩の強要」がアメリカで通用するはずがありません。

2015年だと、機内ではありませんが日本で活動していた韓国籍の俳優が、機内で酔った後到着先の台湾で地上スタッフに暴行を働き逮捕されるという事件がありました。罰金約50万円という軽い刑で釈放されたものの、この俳優はマーティン・スコセッシ監督が台湾で撮影する映画に出演するために台湾を訪れており、当然映画への出演は中止、所属事務所から契約を解除されるという結果となりました。

しかし、この2例はまだぬるい対応を受けたというべきでしょう。アメリカでは、団体で酔って騒いだ客が、目的地の途中の空港に緊急着陸した上で強制的に降ろされるということも起きています。

自分の健康のためにも、他の乗客に迷惑をかけないためにも、飲酒は控えめに。まあ、それは機内に限らないことですけどね。

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