とぼけた商品で知られるアメリカの機内通販業者が破産した理由

飛行機に乗ると、飛行時間も半分ぐらいを過ぎ、国際線の場合は機内食を食べ終わってゆっくりしているような時間帯に、キャビンアテンダントがワゴンを引いたり、かごを腕に下げたりして機内販売を始めます。

航空会社のオリジナルグッズや免税品などが売られているようですが、あまり買っている人を見たことはありません。

さて、ここで問題。旅客機の機内販売で売られたものの中で一番大きいものは何でしょう?

答えは自動車。もちろん自動車の実物が機内に持ち込まれたわけでも、実はミニカーでしたということでもありません。

2011年に、バルト三国の一つラトビアの航空会社「エア・バルティック」は、機内で日本円にして約250万円のミニクーパーを販売しました。購入希望者は、まず機内で引換券を購入するというシステムです。もっとも、実際買った人がいるかどうかは不明ですが・・・。

航空会社の経営が厳しくなる中、少しでも収益を伸ばしたい各社は、機内カタログ販売なども行っています。例えばJALの機内誌『JAL SHOP』は、JAL SHOPのカタログになっています。

日本では機内カタログ販売はそれぞれの航空会社が自社ショップのものを対象に行なっているだけ、いわば本業の旅客業務のついでに、乗客が何か買ってくれれば儲けものという副業のようなものです。しかし、アメリカには機内カタログ販売専門業者がありました。

アメリカのスカイモールは1989年創業の機内カタログ販売専門業者。専門業者だけに、航空会社をまたいでアメリカの国内線を中心にカタログを置いていました。

スカイモールはまた、「Zombie of Montclaire Moors(モントクレアの沼のゾンビ)」や「Basho the Sumo Wrestler Table(芭蕉?スモウレスラーテーブル)」「Bigfoot Garden Yeti Statues(ビッグフットの庭のイエティ像)」などという、「どうして売ろうとした!?」と言いたくなるような摩訶不思議な商品で話題になった業者でもあります。

そんなスカイモールですが、上に「販売専門業者がありました」と過去形で書いたのは、2015年1月に業績悪化から破産申請をしたためです。機内のカタログは、フライト中にヒマになってついつい目を通し、欲しいものがあったら買うというようなもの。

ところが、機内モードにしておけばスマホやタブレットを使って暇つぶしができるようになった今、わざわざカタログに目を通す人が激減してしまったというのが業績悪化の主な原因だと言われています。

JAL SHOPカタログのように航空会社が片手間にやるならともかく、機内カタログ販売に特化した業態では時代の変化についていけなかったようです。

関連記事

ページ上部へ戻る