妊婦さんは飛行機に乗る際、エコノミークラス症候群に要注意

2015年5月10日、エアカナダの乗客のカナダ人女性が、機内で出産するという事件(?)が起こり、この機がたまたま成田空港に緊急着陸したために日本でもそれなりに大きく報じられました。

日本の航空会社では、妊娠している女性でも出産予定日より29日以上前であれば、希望すれば会社のサポートは受けられるものの搭乗自体には制限はなく、予定日より28日以内でも、搭乗日から7日前以内に書かれた診断書があれば搭乗できます。

予定日の7日以内の場合は医師の同乗も必要になるので、よほど親しい主治医がいるとか、家族が医師であるというのでなければ、現実的には難しいだろうとはいえ、搭乗自体が禁じられているわけではありません。

エアカナダの場合、妊娠37週未満(約妊娠8ヶ月)であり、早産の経験がなければ搭乗に制限はありませんが、それを超えている場合は事前申請と医師の許可証が必要なようです。

ただし、これらはあくまで自己申告であるために航空会社は乗客を信じるしかなく、また医療機関でもない航空会社が独自に妊婦の診断をすることは医師法に反するためできるはずもありません。

今回の出産騒ぎは、出産した女性自身も妊娠に気づいていなかったという情報もあり、それが本当のことか規則を守らなかった責任から逃れるためかはわかりませんが、妊婦がルールを守らなかったことでこういう事態が発生する可能性が今後もないとは限りません。

今回はたまたま乗客の中に医師がいたため、母子ともに無事で済みました。

イギリスの英国王立産婦人科学会は、2013年に発表したガイドラインで、妊娠後期であっても妊婦が飛行機に搭乗するのを止める理由になるような危険性はないと明言しています。搭乗中に受ける放射線や、空港でのボディースキャナー検査も母体及び胎児にも悪影響は与えないとしています。

ただし、4時間以上の搭乗の場合、静脈血栓塞栓症、つまり俗称『エコノミークラス症候群』が発生するリスクが高まるとして注意を促しています。特に妊娠中期以降は、より発生リスクが高くなる傾向にあるといいます。

これは、妊娠中に増加する女性ホルモン『エストロゲン』に血液凝固作用があるため、通常より血栓ができやすくなるためだと思われます。

エコノミークラス症候群の予防法は、妊娠の有無に関わらず、水平飛行中にできるだけ立ったり歩いたりする機会を増やして血流を促すことと、水分摂取をこまめにすること、下半身を圧迫するような下着や靴下などは避けることです。

カフェインや、妊娠中にエストロゲンとともに分泌量が増えるプロゲステロンには利尿作用があります。利尿作用を脱水作用と混同し、利尿作用があるものを摂取するとまるで体から水分がどんどん失われるかのようなことを言う人がいますが、これは明らかに医学知識がない人が言う素人考え。

利尿作用というのは排尿を促す作用であって、必要以上に水分を絞りとるという作用ではなく、お茶やコーヒーを飲んではいけないということはありません。プロゲステロンの分泌量が増えていてもそれが原因で体が干からびることなどありえませんから、過度に心配する必要はないでしょう。

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