旅客機の窓がもっと大きかったらいいのに・・・

旅客機の窓がもっと大きかったらいいのに・・・。旅客機に乗ったことがある人は、誰でも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

旅客機の窓は小さくて、せっかくの空の眺めもあまりよく見えません。

旅客機の窓が小さいのは、構造上、あまり大きくできないからです。胴体部分を構成している何本もの柱がありますから、窓を大きく作ることは出来ないのです。

旅客機の外板はアルミ合金で、厚さはわずか1~2ミリです。その薄い材料で機体の強度を保つため、頑丈なフレームと縦通材(ストリンガー)を組み合わせた「セミモノコック構造」で設計されています。

旅客機の窓は、その骨組みを避けて、骨組みのない場所に作らなければなりませんから、どうしても設置できるスペースが限られるのです。

それなら骨組みの数を減らしたら?と思われるかもしれませんが、もし骨組みを減らすとしたら、外板を厚くしなければなりません。そうすると外板を厚くした分、機体の重量が重くなりすぎて、飛ぶことそのものが出来なくなってしまうのです。

窓と窓の間には柱が通っていると考えると、骨組みがわりと狭い間隔で必要であることが想像できるのではないでしょうか。

マッハ2のスピードを出せる超音速機コンコルドの場合は、それ以上に機体の強度が必要だったので、骨組みの数を多くしなければなりませんでした。ですから、窓の大きさがハガキほどしかなかったそうです。

ボーイング787の場合、軽くて強い「炭素繊維複合材」を外板に使用したため、骨組みの数を減らすことが出来ました。その分、ひとつひとつの窓が大きいそうです。

ところで、旅客機の窓の素材は、ガラスではありません。

ガラスより軽くて、柔軟性があって加工しやすいアクリル系の樹脂を、3層構造にしてあります。

上空を飛行中に、万が一窓が破損したら、与圧された機内の空気がものすごい勢いで機外に吸い出されてしまいます。窓の破損は致命的な事故につながりかねないのです。

もちろん、1枚でも強度は十分に保たれていますから、実際にはそんな心配はないのですが・・・。

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