旅客機のエンジンに求められる過酷な性能とは?

旅客機の「心臓部」ともいえるのがエンジンです。

現在も大型ジェット旅客機に使われている「ターボファン・エンジン」が登場したのは、1960年代。その名のとおり、ファンを高速で回転させて、燃料に空気を送りこむのが特徴です。

ボーイング「777-300」型機のエンジンは、ジャンボ機ボーイング「747」よりもさらに大きく、ファンの直径が2.8m、エンジン全体の直径は3.8mもあります。

ファンは扇風機のような羽が中央の軸をとり巻くようになっています。羽は十数段にわたって重なってついていて、この羽が秒速約450mの高速で回転しながら、周囲の空気を吸いこんでいるのです。

吸いこまれた空気は圧縮機で圧縮され、約500度Cまで温度を上昇させてから燃焼室に送りこまれて、噴射された燃料と混ぜ合わさり、点火されます。

燃焼室内の温度は、1600~2000度Cにもなります。この高温に耐えられるよう、燃焼室はニッケルを主原料にした耐熱合金でつくられています。

そのうえで、圧縮機から送られる空気のうちの70~80%は燃焼させずに、バイパスを通して冷やされ、燃焼室の周囲に送り、燃焼室を冷却する役目を担っているのです。

空を飛んでいるのは旅客機だけではありませんから、上空を飛行中、何が飛んできても事故を起こさないように考えて作られています。

鳥などの動物はもちろん、気象条件によっては雨水やひょう、つまり氷の固まりも空を飛んでくることがあります。

旅客機は昼間でも高度が1万フィート(約3000m)以下になると着陸灯を点灯させます。鳥が衝突してくるのを防止するためです。また、高度に関係なく運航中は常に、主翼端にある衝突防止灯のストロボライトを点滅させています。これも鳥などの接近を防ぐ対策です。海の近くにある空港では海鳥への警戒、渡り鳥の飛行コースと航路がぶつかりそうなところでは渡り鳥への警戒と、鳥への警戒はかかせません。

ぶつかってしまう鳥もかわいそうですし、鳥が1羽エンジンに吸いこまれただけで、機体は大きな衝撃を受け、機首が振られて姿勢を崩したり、エンジン内のファンも破損しますし、大事故につながりかねないのです。

そこで、飛行中に鳥を警戒するのももちろんですが、旅客機の製造過程で行なわれるエンジンテストの段階から、鳥対策が考えられています。そこでは鳥をわざと吸いこませて、エンジンの稼働に支障が起こらないかどうか実験することがあります。

このほか、豪雨のなかでの航行に耐えられるかどうかを確かめるために、毎分1000Lの水を1時間にわたってエンジンに吸いこませるテスト、ひょうが降るなかでの航行を想定し、500Lの氷の塊を吸いこませるテストも行なわれます。

ありとあらゆる不測の事態をくぐり抜けられる「強い心臓」を目指して、開発やテストが行われているのです。

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